黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

ツール・ド・フランス 2019

ツールが終わった。今年は正直そこまで身を入れて見ていなかったのだけど、それでもほぼすべての日でテレビは点けてたので平均的な日本人よりはずいぶん見たと思う。
ゲラント・トーマス(チームスカイ)の優勝には驚いた。が、よく考えてみるとそこまで驚くほどのことでもない。それぐらいの力はあるのだ。トーマスが、エースをアシストする立場でありながら総合争いから後れを取らずに進めたということ自体、スカイが圧倒的な力を持っていることの証でもある。後半になってもスカイは全員でフルームがエースだと言い続けた。チームの意思は徹底的に統一されていたことがよくわかる。だが、終盤のピレネーでフルームは逆にタイムを失い、トーマスはマイヨ・ジョーヌを守り続けた。完璧な三週間だったと思う。
トム・デュムラン(サンウェブ)がジロ・デ・イタリアに次ぐ2位。ジロではフルームに、ツールではトーマスにやられたことになる。とはいえ連続2位は立派すぎる成績で、来年以降も総合争いに絡んでくることだろう。
クリストファー・フルーム(チームスカイ)は初日に落車で1分近くタイムを失い、とうとうそれを最後まで取り戻すことができなかった。アルプスでトーマスから 20 秒ずつ、第 17 ステージでも 47 秒遅れるなど、少なくとも今大会においてはトーマスにかなわないパフォーマンスだったが、やはり奇跡的な勝利を収めたジロからの連戦という事情も大きかったのではないか。
ナイロ・キンタナ(モヴィスター)は初日残り 3.4km 地点でパンクに見舞われたのを皮切りに落車やメカトラが比較的多く、ちょっとついていなかった印象だった。第 17 ステージでは先に仕掛けてついてきたマイカをぶっちぎり、追い上げるマーティンに影も踏ませず圧勝したが、すでに4分以上離されていたので総合上位勢には相手にされなかったという状況でもあった。驚いたことにツールでのステージ優勝はわずか2勝目で、2013 年以来とのこと。まだまだやれる力はあると思うので、来年こそは総合優勝を狙ってほしい。あとどこのチームでもダブルエースとかトリプルエースとか言ってて結果出してるの見たことないんで、エースはひとりに固定したほうがいいと思うの。
マイヨ・ヴェールペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)が指定席に返り咲いた。昨年はキャベンディッシュとの接触があって失格になってしまったが、今年はそのようなこともなく、平坦でも山岳でもポイントをかき集めまくって緑ジャージを三日目以降全日着続けた。第 17 ステージで落車があったためそれ以降はそうっと回ってくる感じになってしまい、シャンゼリゼでは勝ち負けに絡めなかったが、自らの持つ最多獲得ポイント記録を更新した。やはりこの男がいなければ面白くない。その意味では今年は楽しませてもらった。
山岳賞にジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ)が輝いた。途中からは積極的にポイント稼ぎに走り、ステージ優勝もふたつ飾り、本人もだいぶはしゃいでいる様子だったが本当に強くなったなあという印象。おととし「今後が大変楽しみ」と書いたのだけど、期待通りの進境を見せてくれている。
ヤングライダー賞、マイヨ・ブランはピエール・ラトゥール(AG2R・ラ・モンディアル)。個人 TT のフランスチャンピオン(二年連続)らしく、今ツールではステージ単位でそこまで目立った活躍はなかったものの後半戦はずっと白ジャージを守り続けた。まだパンチ不足だけど、来年以降どこまで伸びてくるだろうか。