黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

つんのめり

試合の帰り、22時を回っていたので、幕プリのところの歩道橋についてるエスカレーターが既に止まっていた。止まってると知るとTさんはますます乗りたがり、「つんのめり」を体感して喜んでいた。おかしな人だ、と言いたいところだが気持ちはわかる。
止まっているエスカレーターに乗ろうとすると、慣れないうちは前につんのめってしまう。これは、「エスカレーター→床が前に動いているところ→重心を前に出さないと後ろに倒れる」というのが無意識に働くためだと考えられる。というか多分、初めてエスカレーターに乗った時はきっと後ろに倒れそうになって、重心を前に出すことを憶えるのだろう。そうして身につけたものが、ただエスカレーターが止まっているだけで仇になる感覚はとても面白い。
おれの個人的な体験では、これは止まってるんだ、階段と同じだ、と自分に言い聞かせても無駄だった。ところが、バイトをしていた頃、毎朝のようにまだ動いていない新橋駅のエスカレーターを歩いて登っているうち、だんだん「つんのめり」はなくなっていった。今では止まっているエスカレーターを階段と同じように歩くことができる。もちろん、動いているエスカレーターに乗る時にも不自由はない。つまり、使い分けまで無意識にできるようになっていく。
ともあれ「つんのめり」はなかなか味わえない感覚なので、まだ起こしたことのない人はやってみると面白いと思う。運動神経やバランス感覚の優れた人だとならないかも知れないが、それでも最初の1回ぐらいはなるんじゃないだろうか。