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高専ロボットコンテスト2004全国大会

ねたばれあり。今更困る人居ないと思うけど。
優勝は松江高専で、今回の比較的ゆるい制限で複数台マシンを使えるルールでは、フィールドを掌握する戦術が最強ということを示した。妨害用の自走子機の動きが素晴らしく、高い技術とアイデアに支えられた勝利だった。
はてなとか2ちゃんねるとかで感想見てると妨害戦術は結構評判悪いみたいだけど、ルールが定められている勝ち抜きのトーナメントである以上は、ルールの範囲ではなにやってもいいんじゃないだろうか。各チームなりのこだわりはもちろんあっていいと思うし(毎年ロボットのフレームを木で作るとか)、全校全力で勝ちに行け、なんて言う心算も毛頭ないけど、「勝つため」に最大限の努力をすることは否定されるべきではない。とおれは思う。
で、最強と評した豊田高専は、四国の強豪詫間電波高専と2回戦で激突、6秒ダンクを決めるもボールを吊られて0センチ同士の判定負けだった。「早く入れたほうが勝ち」というルールにしてしまうとゲーム的に面白くなくなってしまう、というのは北海道地区の時に書いた通りで、


スポットひとつだと、最初に一方のチームががっちりとってしまうとそこで事実上試合が終わってしまうので、結構ゲームとしての盛り上がりが難しい。そう簡単にはスポットが取れない、程度の難易度設定は絶対必要だろう。逆に言えばそれができれば安定して勝ち上がれるということになる。「究極のロボット」があり得るゲームだ。
豊田高専は、結局全国で唯一この「究極のロボット」に限りなく近づいたマシンを作り上げたのだと思う(地区予選での不具合も修正されていた)。ルールの中で勝つための最大の努力の結果ここに辿り着き、実際に6秒で試合を決める力があった。間違いなく、一番強いマシンだった。
ただ、あれがロボットだったのか、ってところに根本的に疑問が残って、まあどんなマシンも「そもそもラジコンじゃねーか」って批判は常にあるのだけど、「vELo-city」はラジコンですらないギミックに過ぎない。そのマシンがロボコン大賞にふさわしかったかどうか。
だから、大会の方向性としては豊田高専に小憎らしいほどの強さでがんがん勝ち上がって優勝してもらって、ロボコン大賞はもっとふさわしいロボット(多芸さと自動制御の正確さを考えると詫間電波高専辺りかなあ)に与えられたらよかったんじゃないかな。そういう意味であの試合の判定は残念だった。
個人的にナイスだったのは一関高専の健闘。結局他のどこにも居なかった投擲型であそこまで戦えたのは立派の一言。操縦も素晴らしく、アイデア賞にふさわしい戦いぶりだった。
逆に個人的に残念だったのは鈴鹿高専「Albatross」の一回戦落ち。相手が悪かったとしか言いようがないが、地区大会・全国大会を通して豊田高専を唯一苦しめたマシンが「アイデア倒れ賞」に終わってしまったというのは気の毒だった。
ルールはもう少しきっちりして欲しかった感はある。スポットがひとつしかない以上例年以上に接触が多くなることは想定できたわけだし、妨害マシンが事実上自由に使える設定でもあったのだから、相手のマシンを動かすことの可否なんかは決めておいて欲しかった。全国大会前日にその辺が変わったらしいが、不利に働いたチームもあったんじゃないかと思う。
(あと、相手のローバーボールを先に動かしてしまった場合のリスタートはゲーム開始からやり直すべきだったかも。松江高専が地区大会でその反則をしてしまったのだけど、「減点1を与えた上にローバーボールをスタート位置に戻し、それ以外はそのままやり直す」という処理だったので、相手チームのメッセンジャーボールはもうスロープまで到達した後で、ボールを確保する動作に移行することができなかった。)
なんだかんだ言われてるし書いてきたけど、ゲームとしてなかなか面白かったと思うし、いろいろなアイデアが見られて今年も楽しい大会だった。全国大会の放送も(不満はまだ残るが)昨年に比べるとはるかにいい作りになっていた。また来年も見ることにしよう。