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スピードの絶対値ってなんなんだ(その1)

えっと、今から、すっげえ理屈っぽいのに全く感覚的なことを書きます。なんか矛盾してるみたいですが、読み進んで頂ければどういうことかわかって頂けると思います。むしろ予告する意味がわかりません。ともあれ、ちょっと前の話になってしまいますが、まずはぱさぱさから引用します。


サンスポの見出しに★スピードの絶対値が違うとある。以前から気になってるのだが、この場合アイルのスピードはマイナスだったりするんだろうか。つーかマイナスのスピードって何よ。
マイナスはねただとして、ようするにぶかさんがおっしゃりたいことはスピードの絶対値ってなんなんだよということだと思います。ちょっとぐぐるだけでぞろぞろ出てくる(参照→google:スピードの絶対値)ようによく使われる言い回しですが、考えてみると明確に定義して使ってる人は少ないように思います。かくいうおれもこの日記で使ったことがありますが、――と書いてから検索してみたら使ってないことが判明しましたが、まあ似たような物言いをすることはあります――はっきり意識したことはありませんでした。
何故「絶対値」なのか。
全く個人的な感覚なのですが、スピードというのはベクトルで表されるんじゃないか、というのがおれの捉え方です。ベクトルというのは

最もおおざっぱな言い方では、ベクトルとは大きさと向きを持ったもので、スカラーに対して使われる言葉であり、平面上や空間内の矢印(有向線分)として幾何学的にイメージされる。
こういうものです。だそうです。ここではこの「最もおおざっぱな言い方」で事足ります。引用後半の“幾何学的なイメージ”を想起してください。平面上の矢印で充分です。
スピードというのは、色々な形を持つものです。簡単にするために話を短距離馬に絞りますが、1200m を同じ1分8秒5で走るのでも内容は色々です。逃げて行けるだけ行って1分8秒5。好位にためて直線抜け出して1分8秒5。後方から一気に追い込んで1分8秒5。これらは全て同じ1分8秒5ですが、レースで持つ意味合いは随分違ってくるものだということは、ある程度以上競馬を観ている人には殆ど自明のことでしょう。
このスピードの「形」がベクトルに喩える時の「向き」に当たります。ここでは位置取りだけを問題にしましたが、正確にはもっとはるかに細分化できるものでしょう。フットワークとか、他馬を苦手にするとか、競り合わないと駄目とか。極端に言えば一頭一頭違う筈です。しかしやはり話を簡単にするためにここでは「向き」は脚質に限定します。
ではベクトルに喩える時の「絶対値」(wikipedia では「大きさ」と表記されています)は、というと、もうおわかりでしょうが、「タイム」に他なりません。ここでは1分8秒5、ということになります。タイムが小さい方が能力が高い辺りがちょっとめんどくさいですが、ここでは速い方が絶対値が大きいことにしておいて下さい。
そこで上で書いた、同じ絶対値でもレースでの意味合いは随分違うという話です。上で挙げた3つであれば、一般的には「好位から差して1分8秒5」が一番“強い”と感じた方は多かったんじゃないでしょうか。それはつまり、他のふたつよりも勝てるであろうレースが多い、と考えられるということです。絶対値が同じでも、その価値は向きによって異なるということになります。
逆に言えば、あるレースを勝つために必要なスピードの絶対値というのが決まっているとすると、その必要な絶対値はスピードの向きによって違う、ということになります。
だいぶ皆さん煙に巻かれてきたんじゃないかというところで、いい加減長くなってきたんで次回に続きます。続くのかよ。