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素人に厳しい街

なんか秋葉に「一般人」が流入してる、みたいな話から秋葉原論がちょっと流行ったっぽいんだけど、結論として「秋葉原にとってオタクもまた後から来た者である」ってのは多分自明な話。不愉快な輩が現れるようになった、ってのは事実だとしてもまた少し別のフェイズの話なんだろうと思うし、珍獣見物みたいな状況がそう長く続くとも思えないので自分としてはそんなに悲観する心算もない。


個人的に、秋葉原という街について思うのは、「新しいものを受け入れつつ、古いものは一定の淘汰を経つつも先鋭化した一部が残り続ける」みたいなイメージ。そういう意味では、パーツ屋とかは路地裏にいつまでも残り続ける、みたいな感じで、同人誌屋なんかも将来的にはそういうものになってくんだろうな、みたいなことを思う。
で、上で多分自明な話って書いたのは殿下の云うこのようなことで、秋葉原は長年マニアックな街であったけどその主要な商品ってのは10年ぐらい?の単位で刻々と移ろっている。
ためしに「秋葉原 歴史」でぐぐって一発目に来る「AKヒストリー」を見てみると、ちょっとネタ自体は古いのだけど、戦後から発展し始めたこの街がパーツから家電、家電からパソコンへと軸足を移すさまが克明に記されている(余談だが、ジャンク屋が勢力を伸ばし始めたのが意外に遅いのは興味深い。)。書かれた時期によるものか当たった資料によるものか書いた人の年齢・嗜好によるものか、その辺りで変化への言及は止まっているのだけど、その後は当然パソコンからゲームを通してオタク文化全般へ、と来てようやく現在に至ることになる。おそらくオタクの街になってから、長く見ても15年程度しか経っていないのではないだろうか。
こういうことはあの街を日常的に歩く人なら自然に体感することなんじゃないのかな、と思う。というのは、まあラジオ会館こそかなり勢力図を塗り替えられてしまったけど、ラジオデパートやラジオセンターなどには今でもパーツ屋がぎっしり詰まっていて、その店構えは戦後みたいな雰囲気ですらあるし、駅の側の一番いい立地を現在もなお占めている。街は中央通り沿いに発展を遂げたためにそこには家電屋の大きなビルが建ち並んでいたのだし(これも塗り替えられつつあるな……)、パソコンや周辺機器を扱う比較的小規模な店は中央通りの一本裏に多く見られる。という風に、時代の変遷が微妙にずれながらも立地に反映されている面があるからだ。
とはいえ、特に家電系の衰退が著しい今、描かれていた地層は崩れつつあり、急速に勢力を伸ばしたオタク系は駅前の好立地から路地裏の雑居ビルまで各所に点在し、地理から歴史を想像するのはここ数年でかなり難しくなっているのかも知れない。
さておき、そういうわけだから秋葉原が何時までもオタクの街であるともちょっと思えない、というのはあるんだけど、じゃあその後に来るものは?って考えた時に、「パーツ(ラジオ)→家電→パソコン→ゲーム/オタク系」という流れの先にアキバヨドバシに代表されるようなものが来るんだろうか、あるいはクロスフィールドに象徴されるような街になっていくんだろうか、と考えるとそれは違うような気がしてならない。うまく説明できないけど、それならまだしばらくはオタクの街であり続けるんじゃないかな。
ところで、秋葉原の歴史的な発展と地理的な店舗分布に関して詳しく書いている人は居ないだろうか。上ではなんとなく書いてみたが、おれは秋葉原全然詳しくないし新参者だしとても正確なことを書けているとは思えない。街の雰囲気の流れまで俯瞰して書ける人が居たらかなり面白いものが出来そうに思うのだが。