少し前にNが勧めていたのだが、本屋で文庫を発見したので買う。これは凄く面白かった。第一次世界大戦中の東欧を舞台に、普通の人間とは違う能力を持つ者たちの活躍と戦いを描いた物語なのだが、背景なぞは書きたいから書いたという感じで、とにかくその能力「感覚」の描き方が素晴らしい。人の心を読んだり操ったり、あるいは「打撃」を与えたり、というテレパシーに近い能力なのだけど、それを様々に使う主人公を実に活き活きと描いている。佐藤亜紀の描写力は本当に凄い。作者も気に入っているのか、他にもいくつか共通の設定で話を書いているらしい。機会があればそちらも読んでみたい。