黄昏通信社跡地処分推進室

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名前を残した馬たちへ2006 (1)

今年も日本軽種馬登録協会より 2005 年に供用を停止した種牡馬の一覧が発表された。そのうちサラブレッド 6559*1 頭について、ひと言ふた言ずつ書いていきたい。今年は頭数が多いのと、昨年までほどは一気に書ける環境にないので、おそらくは少しゆっくりしたペースになるが、盆ぐらいまでには全馬書けたらいいなあと思う。
昨年までのものも参考までに。
「名前を残した馬たちへ」(4)
 一昨年のもの。この日から他の3日分にリンクがあり。
名前を残した馬たちへ2005 (4)
 昨年のもの。同じくこの日から他の3日分にリンクがある。
では、始めようか。

アブクマポーロ(父クリスタルグリッターズ/母バンシユーウエー,1992) 用途変更
交流競走路線が整った頃に本格化して連勝を重ねた南関東の活躍馬。あまり遠征をしなかったのと、同時期にはメイセイオペラなんかが派手に活躍していたことなどもあってやや影が薄かったが、それにしても今見ると中々立派な成績だ。とはいえこの手の地方で大活躍した馬が種牡馬として成功する例は殆どないのもまた事実。クリスタルグリッターズ×ペール×プロントなんて配合に食指が動く生産者ってのも相当レアではあろうし、結果自体は仕方ないかな。今は乗馬として暮らしているようで、この馬の栄光に見合う余生であるといいなあ、と思う。
アラムシャーIRE(父 Key of Luck/母Alaiyda,2000) 輸出:アイルランド
愛ダービーと“キング・ジョージ”を勝っている名馬で、日本で 2004 年に種牡馬入り。初年度は 65 頭に種付けしたが、昨年はわずか 4 頭にとどまり、わむさんに「死んだっけ?」などと真顔で言われてしまった不遇の馬。正直産駒もデビューしていないのでは書くこともないが、いずれにしても日本での活躍は難しいだろう。驚いたのはてっきり再輸出かと思ったらリースだったことだ。つうかこのまま再輸出に 1000 ペリカ。まだまだ若いし、新天地での活躍を祈りたい。
ウィズダム(父サンデーサイレンス/母ミスティーグリーン,1996) 用途変更
サンデーサイレンス×トウショウボーイ、近親にホーセンルビー……って、いくらなんでも種牡馬になるには足りないのでは、とは思う。競走成績は 2001 年が最後で、産駒は初年度に4頭居るのみ(現3歳)。勝ち星をあげている牝駒が居るので、あるいは血筋をわずかにでも残せるかも知れない。毎年こういう馬が何頭かは居るのが面白い。
ウイニングチケット(父トニービン/母パワフルレディ,1990) 用途変更
言わずと知れた、柴田政人に初の東京優駿勝ちをもたらした馬。ビワハヤヒデナリタタイシンと共にクラシックで名勝負を繰り広げた。今数字を見るとむしろ長く脚を使う方に見えるけど、当時は凄い切れ味ってことになってたんですよ。長い直線を押し切った東京優駿、最高の競馬をしたマイヨジョンヌをきっちり捉えた京都新聞杯など、力以上に印象に残るパフォーマンスを見せている。古馬になってからは故障もあって不振。産駒は気性が激しい仔が多かった印象がある。優駿牝馬で3着に入ったユウキャラットが代表産駒か。父系は残せそうにないが、母の父としては結構やれる、かも。
ウェイオブライトUSA(父 Woodman/母 Salchow,1996) 輸出:オーストラリア
この馬はオーストラリアとのシャトル。もう5年目にもなるらしい。ウッドマン産駒で主な勝ち鞍がグランクリテリウム、と非常に判りやすいパーソナリティだが、今のところ日本ではスタートダッシュに失敗気味。オーストラリアではどうなんだろうか。鬼のようにいい牝系の出だが、もうあんまり多くは望めないような気がする。
エブロスUSA(父 Mr.Prospector/母 Scuff,1986) 転売不明
競走馬としては二線級だったが、ミスタープロスペクター系が流行り始めた頃にちょうど輸入され、長く活躍馬をちょこちょこ出した。種牡馬としても一流の産駒は出せず常に脇役だったが、ここまで供用されればまずまずか。代表産駒は賞金頭ならビーマイナカヤマで、活躍で言えばポレールになるかな。つまりそういう種牡馬。しかしこの歳になって転売不明というのも切ない。
エムアイブラン(父ブライアンズタイム/母ユキグニ,1992) 用途変更
もう供用停止なのか。世知辛いなあ。もっとも、活躍していた印象がある一方で勝ちみに遅く、結局GIどころかG2も勝っていない。ブライアンズタイムの産駒はどうも種牡馬としては自身の底力を仔に伝えない印象があって、中々成功しづらい感じはする。サンデーサイレンスの産駒と比較されるとどうしても厳しいのはブランド力だけじゃないんじゃないですかね。つってもスタートラインも違うからなんとも言えないかな。
エーピーダンサーUSA(父 Nureyev/母 Savonnerie,1990) 輸出:韓国
この馬が4歳春にデビューから2連勝を飾った時のことはおぼろげに憶えている。ただ4歳馬が出たとこ勝ちでも凄いのに、時計も凄く速くてちょっと評判になった。そこから10ヶ月置いて3連勝目、さらにまた10ヶ月置いた4戦目の 900 万下でも連対した、らしい。底を見せないまま6歳まででわずか5戦のキャリアで引退して種牡馬入り。産駒には中央5勝のエーピーサルートと全弟で中央3勝のエーピーコンロンが居る。このキャリアとしては頑張ったというところか。昨年韓国へ輸出。結構好い血は持っているし、配合相手に恵まれれば大物を出せる可能性はあると思う。頑張って欲しい。

*1:59 頭:わざわざサラブレッドと断ったのにアングロアラブまで数えていたので修正(2006-08-11)。