黄昏通信社跡地処分推進室

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名前を残した馬たちへ2006 (8)

今年の分はこれで最後。
第1回→名前を残した馬たちへ2006 (1)
第2回→名前を残した馬たちへ2006 (2)
第3回→名前を残した馬たちへ2006 (3)
第4回→名前を残した馬たちへ2006 (4)
第5回→名前を残した馬たちへ2006 (5)
第6回→名前を残した馬たちへ2006 (6)
第7回→名前を残した馬たちへ2006 (7)

ラシアンゴールド(父ラシアンルーブル/母サリーベル,1988) 用途変更
昨年この馬がレックススタッドを出された時に短い文章を書いた。その時は種牡馬を続けるという報道がされていたのだが、これを見ると結果的にはかなわなかったようだ。つまるところ需要がなかったのだろう。強い馬だったけど、年齢も年齢だし仕方ないところか。代表産駒はラスニアックもしくはラシアンビューティ。今年から引退名馬繋養展示事業の対象となり、大原ファームというところで繋養されているようです。
ランドショウザン(父ブレイヴェストローマン/母アグネスゼアー,1988) 用途変更
不出走。血統を買われて種牡馬入り、なのだが、モガミスイス(根岸ステークス2着2回)の全弟というのはどれほど買われるものなのだろうか。モガミスイスがどうとかいうよりブレイヴェストローマンだからかな。長年細々と種牡馬をやってきて、中央で勝ち馬も1頭出しているようだがここまで。よくやったと言うべきだろう。前途の保証はないけれど。
ルイボスゴールド(父ホリスキー/母コガネサクラ,1992) 死亡
マヤノトップガンナリタブライアンが叩き合った阪神大賞典でちぎられた3着だった馬。中々強い馬だったし芝適性もそれなりにあったが、4歳後半からは鳴かず飛ばずだった。種牡馬になってからは殆ど産駒もないまま、昨年死亡。母がアルゼンチン産だったりしてちょっと面白い血統だけに残念。死亡の詳細もわからないのはつらい。
レオリュウホウ(父ダンシングブレーヴ/母キヨヒホウ,1995) 用途変更
全くの人気薄で中央のG2を2勝した。特に日経賞ステイゴールドメイショウドトウグラスワンダーなどかなりの面子を相手に逃げ切っている。恵まれた面は否定できないが、それでもある程度の力はなければできないことだとも思う。なんとか種牡馬入りしたがここまで。残された産駒は来年デビューの年齢になる。
ワカオライデン(父ロイヤルスキー/母オキワカ,1981) 用途変更
現役時代は中央でデビュー、朝日チャレンジカップを1位馬の失格による繰り上がりで勝っている。後年は東海公営に転出して活躍したらしい。種牡馬入りすると初年度にサブリナチェリー、ライデンスキー、ツキハシレなど東海公営の活躍馬をまとめて出し、さらに2年後にはライデンリーダーを出してその名を不動のものとした。現役時代の成績を考えると驚異的というほかない大成功で、なんとなく勇気づけられる種牡馬だった。近年はさほど目立つ馬を出せなかったが、ここまで種牡馬を続けられたのはひとえに自身の伝えた能力によるのだから胸を張っていい。あとはのんびり暮らして欲しい。
ワシントンパイザー(父 Meadowlake/母 Carlotta Maria,1994) 転売不明
現役時代は 12 戦して 900 万下を勝ち切れない凡庸な成績だったが、Maria's Mon の半弟ということもあってか種牡馬入り。しかし産駒も殆ど居なかったようだ。まあ仕方ないところか。転売不明というのと日付が1月2日という辺りがなんとも寂しい。

以上 59 頭の馬たちが昨年のうちに種牡馬を引退した。志半ばで引退を余儀なくされる馬が少なくない中、ゴールドレット、ホスピタリテイ、ワカオライデンといった地方競馬で活躍した馬たちが比較的長く供用されて息長く産駒を出しているのが印象的だった。また、故郷へ引き取られて帰って行く馬が昨年も居たし、用途変更された種牡馬の中にも引退名馬繋養展示事業の対象となっているものが少なくない。経済動物などとも呼ばれるサラブレッドだが、少しずつ余生に関しても考えてもらえるようになっているのかな、と思う。
この記事は2年前になんとなく始めたものだけど、結果的にはサラブレッドの父として名前を残した馬たちへの個人的なメッセージになっている。懐かしい名前も初めて聞く名前もあるが、尊敬の念とねぎらいの気持ちは全ての馬に対してある。どうかこの世に居ない馬においては安らかに。余生を送る馬においては幸せに。