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ABU ロボコン 2006

朝何気なく NHK 総合つけたら ABU ロボコンの本大会をやっていた。全くチェックしてなかったので、なんともロボコン運が強いというかなんというか。前回書いた通り日本からは東京農工大学が代表として出場、18ヶ国 19 チームが頂点を目指す。予選リーグで 19→8 に絞り、そこから先はシングルエリミネイションのトーナメント。
時間が短いので予選の試合があまり見られなかったのだが(ここらへんもう少しなんとかして欲しくはある)、マレーシア工科大学の試合を観てあれっと思った。妨害用の金属フレームが進入禁止ゾーンを超えていったからだ。実は進入禁止ゾーンへの進入は単に1点減点で、特に原状復帰の必要もないらしい。十数点を争うゲームで1点は大きいとは言えない。となると、当然スタートから真直ぐ中央を目指すのが最速となる。
東京農工大学は予選リーグは危なげなく勝ちあがった。センターを取るスピードならやはり世界でもトップクラスで、2番目のスカイブリッジも確実に確保できるようになっていた。あとはVタワーをゆっくり決めるだけ、という試合運びは安定していた。
しかし準々決勝の最初の試合で、予選で既に相当な力を見せていたベトナムホーチミン市工科大学と当たってしまう。ここで農工大は賭けに出た。センタースポットを取るマシンからブロックを外し、相手の妨害マシンを阻むことだけに特化したのだ。だが、わずかに及ばなかった。スタート直後に進入禁止ゾーンを越えて飛んできた相手の妨害マシンと農工大のマシンは微妙に軌道がずれ、妨害用の竿を伸ばすことを許してしまった。
自動ロボットはわずかに竿に引っかかってしまいスポットに届かない。一方、ホーチミン市工科大学の自動ロボットもスカイブリッジには届かなかったが、1点ゾーンを使ってちまちま得点を稼ぐ。起死回生のファンによる送風も、これあるを予期してブロックを積んだ後回されてしまっていたため倒すに到らず万事急須。結局 12 対 2 の大敗に終わった。ホーチミン市工科大学はこの後も勝ち上がって見事優勝に輝いた。
技術では負けていなかった、と思う。実際、センタースポットを取る速度では一番だったのではないだろうか。だけど、試合には勝てなかった。スポットは取るよりも妨害する方が簡単で、妨害するためには進入禁止ゾーンを越えるのが一番早い。最速で中央を妨害して周辺で勝負、というのがこのゲームのソリューションで、ホ工大はそこに辿り着いていた。1点ゾーンの使い方とタワーへの素早い積み上げだけで二桁得点に乗せたことはその証左だ。先行され、スカイブリッジも確保できず、慌てて積みに行ったタワーで崩してしまった農工大とは目的意識という面で差が大きかったように思う。
放送された範囲でしか見ていないからはっきりとは言えないが、ベスト8に残った8チームの中で3番目か4番目の力はあっただろう。よりによって優勝者に当たってしまったのは不運だった。だが、優勝すべき力を持ち合わせては居なかった。敗北は必然だっただろう。
高い技術、アイデア賞、ベスト8、いずれも胸を張っていい素晴らしい結果だ。それだけに、足りなかった部分が惜しまれる。また挑戦して欲しい。