黄昏通信社跡地処分推進室

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「柳宗理 −生活の中のデザイン−」 東京国立近代美術館,2007

妻が柳宗理のソースパンを買おうと言い出すまで、柳宗理についてはほぼ全く知らなかった。工業デザイナーという性質上、ある程度自覚的にならなければその「作品」が彼の作品であるのを意識することは殆どない。しかし知ってみるとなんとも不思議な魅力を持った作品たちだ。宗理はあくまでも実用的なデザインの範疇を外れることなく、どういうわけか絶妙にかわいい形のものを作り続けた。その曲線がいかに人の心を掴むのか宗理は知っていたんだと思う。そしてその魅力の不変であること。フォルムを見ただけでは、殆どいつ作られたものだかわからない。60、70 年代の作品も少なくなく、側の「有難い札」を見て改めて驚かされることしきりだった。
展示は小ぢんまりとしていて、それほど点数は多くない。それに比して入場料も安い(420 円)。竹橋というそれなりに交通の便がいいところでもあるし、ついで程度で覗いてみるのもよろしいかと。あと所蔵作品も見られて、今横山大観の「生々流転」というのを展示している。これが 40 メートルとかある絵巻物なのだが、その精緻さと構成と全く苦労を感じさせない筆致には舌を巻く外ない。こちらもついでにおすすめです。
3月4日まで。