黄昏通信社跡地処分推進室

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『eternal garden』 作・演出 松田凛 劇団気球計画,2007 於ザムザ阿佐ヶ谷

妻が衣裳を手伝っていた芝居。おれまで御招待に預かったので観に行った。
地上の環境が人間の住むことができないほど悪化してしまい、完成していなかった地下シェルターにこもって“庭園”という名の社会を作り上げた人々。なんとか八代の世代を重ねるが、社会には不安やひずみが生じ始めていた……という SF では比較的王道のストーリー。個人的には好きなシチュエイションで、小さな舞台にごちゃごちゃと沢山役者が出てくるさまが観ていてなかなかよく、結構楽しめた。惜しかったなと思うのが、前半はいささか饒舌過ぎる印象があった反面後半が逆に明らかに説明不足と感じられたところ。少なくとも前半はもっと早く引っ張り込んでも観ている方はついて来れたと思うし、後半の展開に広がりが出たんじゃないかなあと。
あとねたばれしつつチラシの裏
サラは事態を把握しており地上へ出る道も模索していた。その過程で人々の想像以上に“庭園”が限界に近付いていることを知る。しかし若過ぎるゆえに民の支持を得られず、正攻法で地上に人々を導くには時間が足りない。そのため奇矯な行動で人々を反動的にドライヴしようとする。
一方でキラはミライと接触し、正攻法では難しいと諭し地下活動を煽る。ミライは完全に納得はしないながらも地上党を組織する。党はやがてミライの手を離れ、力ずくで地上を目指す方向へ向かい始めるが、タイミングよくユズキが縦穴の警備に(キラによって作られた)欠陥を発見する。
……うーん、我ながら陳腐な脳内補完でいまいち。方向性としてはサラとキラの関係を考えてもこんな感じかねえとは思うのだけど。
ふたりがユニゾって*1から抱き合うまでのシーンはライヴならではの気持ちよさで、「芝居だけの持つ力」のひとつを体現していたと思う。

*1:ユニゾって:世間一般には「ハモって」だが、冷静に考えるとユニゾンなのでこう表記する。(C)K。