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ありがとう、ジョニー。

戦力外通告について
というわけで、黒木知宏戦力外通告が下った。今シーズン一軍の先発/中継ぎ陣がこれだけぐだぐだだったのに一度も上げられることがなかった時点である程度の覚悟はできていたが、いざ発表されてみると本当に寂しい。黒木は本当のエースだったのだ。人気のない方のリーグの、一番弱いチームの、一番悪い時期を支え続けたピッチャーだった。プロ野球記録を更新するほど負け続けるチームの中で、どこのチームを相手に回していても、この男が先発する試合だけは常に希望が持てた。たとえ負けても、この投手で負けたのなら仕方がないと思えた。いつだって。
すごく速い球があるわけじゃない。すごく曲がる変化球があるわけじゃない。でも誰にも負けないハートがあった。Aクラスすら夢だった頃に、雑誌のインタビューに対して「マリーンズで日本一になりたいんです」と言える強さがあった。誰よりもその困難さを知っていた筈なのに。なにがなんでも自分が勝たなければと思う責任感があった。そのために肩を壊してしまった。まる2年以上、投げられすらしなかった。それでも再起を目指してリハビリを続けられる強い心があった。
そして、復帰。往時の力がないことは、残念ながら認めざるを得ない。この4シーズン、本当のエースの投球は戻って来なかった。マリーンズはそれでも貴重な選手枠をひとつ費やして黒木と契約を交わし続けた。黒木もそれに応えるために、年俸の一部を返上してまで復活を目指してきた。だが、それももう。
黒木は現役続行を希望しているという。本人が望むことを止めることはできない。それでもなんとも複雑な心境だ。どこかにほっとする気持ちもある。悔しいような残念なような気持ちもある。続けるのなら頑張って欲しいとも思う。どこに行ってもほんとうに復活すればきっと嬉しいことだろう。
だから、とりあえず、さよならとは言わない。13 年間本当にありがとう。きっとこれからも、ロッテのエースと言う言葉を聞けばおれは黒木のことを思い出すだろう。その投げる姿と、雄叫びと、宮崎訛りと、泣き崩れた姿と、魂のこもったストレートを、思い出すだろう。