黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

ムクドリ

先週初め頃、通勤途中の用水路の土手でムクドリを見かけた。そこそこには警戒心の強い鳥なので、歩道からそれほど近いところに居るのは珍しかったが、その時はなんとも思わなかった。二日後、ほぼ同じ位置にまたムクドリが居た。立ち止まって見ていてもその場で身体の向きを変えるだけで逃げようともせず、初めておかしいと思った。わざとフェンスぎりぎりまで近づくとようやく飛んで逃げたが、ほんの2秒ほどですぐ近くに着地してしまった。そこで初めて小鳥の両足が見えた。左足が足首から外側にねじまがり、指は縮こまって全く動かなくなっていた。おそらくは折れているか、それと同等の怪我をしていた。
翌々日、妻がやはり似たような位置でムクドリを見かけたと話してくれた。おれはその鳥は多分足が折れていると思うと伝えた。妻は心配してなんとかできないかなと言ったが、多分できることはなかった。帰りに用水路のそちら側を通ってみたが、ムクドリの姿はなかった。
昨日、出かける時にそこを通ってみたが、やはり小鳥は居なかった。ところが、用水路沿いにもう少し下流まで行ってみると、ムクドリが二羽地面をつついていた。一羽がどうやら片足立ちに見えた。おれたちが近づくと二羽は飛び立って、反対岸の木の枝に止まった。一羽はなんと右足だけで木の枝に止まった。あっと思っているとすぐまた飛び立ち、手前の土手に戻ってきた。ほぼ間違いなくあのムクドリだった。どうにかやっているようだった。
今日は少しだけえさを持って家を出てみた。昨日と同じ辺りに、足を折ったムクドリが居た。えさを投げてみると、頑張って飛んで取ろうとする。他の鳥もいっぱい寄ってきたが、とにかくムクドリもちょっとは食べたようだった。
どうなるだろうか。いい方の脚も痛めてしまい死に至るだろうか。あるいは折れた足が回復するだろうか。それとも一生片足のままだろうか。案外頑張るものなのだな、というのは思う。小鳥といっても、侮ってはいけないのかも知れない。いずれにしてもなるようにしかならないが、しばらくはこのムクドリのことが気になるに違いない。