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『ダージリン急行』 ウェス・アンダーソン監督 2007 於恵比寿ガーデンシネマ

年明けに『ここに幸あり』を観た時に予告編を見かけて気になっていた映画。結構なロングランになってまだかかっていたので観に行ってみた次第。
少し疎遠になっていた三人兄弟の長兄がいきなり「僕たちにはスピリチュアル・ジャーニーが絶対必要なんだ」とか言い出してインドでの鉄道旅行を勝手に手配し、巻き込まれるように下の二人も参加、いやおうなしに列車での旅が始まる。些細なことで喧嘩をしたり、現地の寺を訪れたり、トラブルを起こしたりしながら、三人はそれぞれに自分たちの立ち位置みたいなものを取り戻していく。
兄弟それぞれにおかしいところがあって、多分何となくそういうものって当人同士ではよくわかってたり逆に全然わかってなかったりするものだと思うんだけど、それを上手く映画に落とし込んで面白くしている手法が見事で、ずっと楽しく観ることができた。旅行自体はぐだぐだで段々ひどいことになっていくんだけど、あるシーンで巻き込まれる事件の結果からすっとカットバックで三人が疎遠になる直前の出来事の回想に戻り、それから現在三人が共に向かうべきところへ向かっていく、という流れがとても説得力があった。空港で、音声が入らないんだけどなにか会話をして、あっさりチケットを破り捨てるシーンがよかったな。やっぱ駄目だよねそこで終わっちゃ。
三人の役者も見事で、キャスティングもはまっていて、終始楽しかったです。これは観てよかったな。また近いうちに映画観ようかなって気にさせられました。