黄昏通信社跡地処分推進室

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はやりの字体(あるいはつっこみどころの多い短文)

職場で別の部署から文書が送られてきて、添えられている付箋に手書きでメモがつけられていたのだけど、その文字がいかにも若い女性の書く字体だったのでちょっと面白かった。
ここで面白かったのは「それを見た瞬間に若い女性の字だと判った」ことだ。具体的に表現するのは少し難しいが、やや丸っこくて過剰に内側に巻いている感じの線、とでも言えようか。二十代前半ぐらいの人が割とそんな感じの字を書くことが多いように感じる。
そういえば、かつてバイト先の引き継ぎノートなんかでスタッフの書いた字を見ていると、特に女性の書く字は見ただけである程度歳の頃の見当がつくことがあった。あくまで「ことがあった」程度だが、見当がついた場合はそれなりに当たっていたように思う。おれの世代は丸文字のぎりぎり下端辺りに引っかかっていて、その影響が抜け切らない字を書いてる人がちょくちょくいた。*1 コアな丸文字からは少し離れていて、やや縦長で背筋が伸びた感じの字が多かったが、おそらくは同じ丸文字のカテゴリの中でも変遷があったのだろうと思う。
当時もう少し歳下(今二十代中盤から後半ぐらい)のスタッフだと所謂「長体ヘタウマ文字」が主流で、当時はそれを見て少なくとも自分よりは若い、という判断を下していた。この字体については恩田陸がどこだったかで「あの字を見ると何故か“オーガニック”って言葉が頭に浮かぶ」と作品の登場人物に語らせていたと思う。『黒と茶の幻想』だったかな。
おれが追い切れていないだけという可能性は高いのだが、実感だけからすると意外なほど流行のスパンが長い、というのはちょっと思う。上でも書いたように大雑把なカテゴリの下でもまた変遷はあったに違いないのだけど、それにしても丸文字は 10 年ぐらい君臨した計算になるようだし、長体ヘタウマ文字も多分5年かそこらは保っているんじゃないだろうか。そう簡単に新しい字体というのは産まれないもの、なのかも知れない。
それと、今でも字の流行りがあるのは面白い。こういう流行をドライヴするのは小学校高学年〜高校生ぐらいなのかなあと思うのだけど、流石に紙媒体+文字でのコミュニケーションは相当減っているんじゃないだろうか。にもかかわらず字体そのものがコミュニケイションの手段たり得ているのは、それだけ学校ってところで文字書かされるからなんだろうなあ、と。

なんかいかにもおっさんの書いた文章になってしまった。

*1:丸文字の〜影響が抜け切らない字:余談だがおれの字も広義ではこれに含まれると思う。おれに限らずおれの周りはそういう字を書く奴が多かった。男子校だったので男ばっかりなのだが。