黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

高専ロボコン2008・全国大会

もう少し日も経ってしまったし簡単に。
全国大会のレギュレーションは予選がタイムトライアル、タイム上位8校でシングルエリミネーションの決勝トーナメントを行う、というものだった。残念ながら今年もまったく映らなかった高専が少なからずあったものの、ここ何年かの作りに比べると番組は随分ましな作りになっていたと思う。これぐらいやってくれれば悪くない。BS でとはいえ全試合版も放送するようなので、このぐらいでよしとするべきなのかも知れない。
予選タイム1位は小山高専で、やはりこれがソリューションなのか、と感じさせる速さだった。2位は蝶ロボットの長岡高専で、蝶の不安定な歩きが妙に速い、という変な特徴は地方大会と同じ。3位だった沖縄高専がかなり完成度が高く、なんと2足歩行は左右に足がついているのに安定していて速い。しょっぱなにパイロンを倒しながら 47 秒、というのは驚異的な速度だった。予選突破のボーダーは1分 23 秒。事前に予想していたよりは若干遅かったが、やはり本番の一発勝負で力を出し切るのは難しかったのだろう。
予選落ちしたマシンでは鹿児島高専の駕篭マシンが秀逸で、アイデア的にも面白かったし、二足歩行も安定していたし、なにより造形がしっかりしていたのがよかった。阿南高専の四足から二足に変形するマシンもかなりよかった。地方大会を見ている限りでは四足は鬼門で、安定しない上に速くもない。ハードルをクリアするところまで進んだのは相当凄い。
決勝トーナメントは小山高専長岡高専、沖縄高専の予選3位以内がやはり強く、準々決勝を危なげなく勝ち上がる。準々決勝で敗れた中では和歌山高専の2足歩行が見られなかったのが残念だった。足を細かく動かして安定させるというのは面白いアイデアで、映像でもタテノリでデケデケ歩いていて、ちょっと見てみたいなと思わせるものがあった。
準決勝では長岡高専と沖縄高専が対戦したが、長岡高専がハードルでミスして勝負あり。もう一方の山からは順当に小山高専が勝ち上がってきて、決勝は小山高専対沖縄高専となった。面白かったのは、決勝ではハードルが最大の障害になっているように見えたことだ。先日今年の課題を分析した時は「小さな課題」と書いた筈のハードルだが、実は多足歩行と二足歩行それぞれで安定する動作を実現できていれば、操作的にはハードルが一番難しくなるという逆転が起きる。
そして、決勝でもハードルが勝負を分けた。パイロンをほぼ互角の速度で回り、ハードルに辿り着く両校。小山高専は慎重に位置を合わせてから橋を下ろすが、沖縄高専は停止位置に走り込みながら橋を下ろした。どちらも動作は正確で、反則もなく二足歩行ロボットが橋を越えた。沖縄高専のロボットの方が2秒ほど早く橋を越えた。そして最後まで、その2秒の差は詰まらなかった。
沖縄高専は見事だった。2足歩行は恐竜型のロボットで、脚は左右についているものの、足首から先は身体の中心側に垂直に向いてついていて、接地面は両足とも身体の中心線に沿って前後に回転する。この機構のおかげで安定した歩行が実現し、抜群の安定性を誇っていた。これだけのロボットを本番の3ヶ月前には完成させて、その後はひたすらに調整と練習を続けていたという。勝負に絶対はないとはいえ、優勝できる可能性を限りなく高めてきたチームが、実際に優勝したということなのだろう。