黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

『あしながおじさん』 ジーン・ウェブスター著/松本恵子訳 新潮文庫,1912/1958 ISBN:9784102082010 『続あしながおじさん』 新潮文庫,1915/1961 ISBN:9784102082027

とても有名な小説だが読んだことはなかった。妻になにがきっかけだったか忘れたが勧められて読んでみて、面白かったので続編まで読んだ次第。
あしながおじさん』の方はプロローグ以外は全て主人公のジュディが「あしながおじさん」宛に書いた書簡集、という形態になっているのだが、恥ずかしながらそれすら知らなかった。感受性と表現力ゆたかな少女が孤児院から外に出て学問や芸術や自然や友人、つまり「世界」そのものに触れてゆく姿がいきいきと描かれていてとても楽しく読めた。大学生の生活の描写もわりとこまごましていてが今見ると中々面白いなあと思う。運動会の話とか、どうなっとるんじゃ。
『続あしながおじさん』は時系列的には確かに続編で、登場人物も共通、書簡形式で綴られていることも同じなのだけど、テーマはずいぶん異なっていて、ジュディの親友サリイ・マクブライドが孤児院の運営に悪戦苦闘する過程を描いている。ウェブスター本人が関心を抱いていた分野らしいこともあって、こちらもいきいきと、あるいは生々しく描かれている。
『続あし』の方には精神障害や遺伝学に関する誤った記述が散見され、今読むとどうかなあと思う部分もある。でも、そういう時代だったのだし、そういう誤解や偏見に触れることも多分意義があることだろう。

ところで ISBN って 13 桁になったんじゃないの? なんか今のところ「10 桁でないと見つからない」みたいなサービスすらあって中々上手く行ってない感じはする。だからこそおれは 13 桁で書くぜ、というスタンスでいるのだけど、前提すら間違っているかも知れない。