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『ワンダーラスト』 マドンナ監督,2008

先日予告編を見て、その時はあんまりなんとも思わなかったんだけど、後で別のところで目にしたらちょっと面白そうだったので観に行ってみた。映画館はヒューマントラストシネマ渋谷。以前はアミューズ CQN という名前で、『サマータイムマシンブルース』を観たことがある。
舞台はアメリカ(あれ?どこの町かわからん)、主人公は3人。売れないミュージシャンのアンドレ(AK)、芽の出ないバレエダンサーのホリー、薬局で働くジュリエット。3人とも人生上手く行ってなくて、どうしようもないほどひどいわけじゃないけど、なんとかしたいと思っている。
その上手く行ってない生活を描くさまがちょっとユーモラスで、例えばホリーが新しい仕事を始めるんだけど、その下手さ加減の描写がとてもうまい。確かに全然エロくないのだ。アンドレの本業の方にやってくる客のもっともらしさとかもよくできている。ジュリエットの働く薬局の店主の家族が登場するシーンで車から次々に子供が出て来るところも楽しい。
映画全体では大したストーリーがあるわけではなくて、わりと小さなきっかけでそれぞれの生活に変化が訪れるタイミングをなんとなく捉えるだけだ。でも、登場するシーンがいちいちちゃんと面白くて、人物もみんなちょっとひっかかるところがあるのはいいと思う。パン切り包丁でパンを切るシーンなんて、面白いけど怖いし怖いけど笑っちゃう、みたいな加減がきっちりできていたし。
最後はまあそろそろまとめるか、という感じでぎゅっと終わるんだけどさっぱりしてて悪くない。尺も全部で 84 分と見やすい丈だし、そんなこんなでわりと楽しゅうございました。人に薦めるほどではないけど、なにかぴんと来るところがあれば観に行ってもいいんじゃないだろうか。