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[かみさまおねがい] 心に残るゲームたち (17):『高田馬場アドベンチャー』 

■『高田馬場アドベンチャー』 プロシューマ,1983??/PC-6001
なんとなくレトロゲームのことを書いておきたい気がするので久々に書いてみる。このシリーズも長いこと書いてきてどうも「重く」なってしまっているので、あんまり考えないで何本か思い出を書いてみようという感じで。
高田馬場アドベンチャー』はプロシューマという会社が発売したテキストアドベンチャーで、白状するとそれ以上詳しい背景はなにひとつ知らない。プロシューマという会社が他にどんなゲームを出していたかも知らないし、いつ発売されたかもわからない。タイトルでぐぐっても実質ヒット数は両手の指からわずかに余る程度だ。
ただそのわずかにヒットしたページに「『表参道アドベンチャー』のパロディ」という記述があって、おそらくこれは事実ではないかと思う。アスキーがリリースした『表参道アドベンチャー』『南青山アドベンチャー』といえばテキストアドベンチャーの名作で、そのタイトルはつとに知られていた。当時はタイトルが広く知られているというのはそれだけで結構凄いことだった。
本家の方は多分あちこちで語られているので話を戻す。
高田馬場』の方は完全にコミックゲームだった。与えられた使命は「高田馬場駅からプロシューマに辿り着く」ことだけ。ゲーム上の地図は実際の高田馬場(もちろん当時の)を模したものになっていて、東西に通りが走り、通りの両側には店が立ち並んでいる。闇雲に歩き回っても辿り着ける見込みは薄い。19 時にはプロシューマは営業を終了してしまう。残された時間はあと 60 分で、コマンドをひとつ入力するたびに1分間が過ぎてしまう。
多少たりともまともな設定なのはそこまでで、あとはゆるい空気が全体にたちこめている。「国道」の在る方向に向かおうとすると車に轢かれて死んでしまうし、地図の一定の範囲から外にはみ出そうとすると迷子になってゲームオーバー。出遭う人は殆ど道案内の役に立たず、交番のおまわりさんは道順は完全に正しいけど超わかりづらい言い回しで道を教えてくれる。
使えるコマンドは 10 種類で、東西南北と「はなす」「はしる」辺りまではまともながら、四方のいずれかにランダムで進む「ちょっかん」(しばしば国道に突っ込んで死ぬ)、地図上のどこかへランダムに飛ばされる「ワープ」(これもどういうわけか、しばしば国道に出て死ぬ)、そして役に立つことは何ひとつ言ってくれない「かみさま」。
クリアするだけなら、このスケールだから当然ではあるのだが、特に難しいことはない。それでも何故か時々遊びたくなって、テープからプログラムをロードしたものだった。闇雲に進んでいって迷子になったり、直感を連発してみたり、30 種類以上ある神様の科白をとりあえず全部聞いてみたり。今思えば、結構正しい遊び方をしていたものだと思う。こんなものがパッケージソフトとして売られていたなんて、今となってはちょっと信じがたいけれど。
プロシューマは、このゲームによると、高田馬場駅から早稲田通りを少し(ゲーム的には走って3分だった)西に行った八百屋の2階にあったらしい。会社が現存していないことは確実だ。でも今も昔もゲームソフトなんてものは結構若い人が作っているものだから、おそらくこのゲームに関わった人はまだ健在なのではないかと思う。その人たちも時々は、このゲームを懐かしく思い出すことがあるのだろうか。

本編ここまで

というわけでリハビリ的に誰も知らないだろうゲームを書いてみた。ぐぐるPC-8801 版と FM-7 版があったらしいことは判ったのだが、PC-6001 版に関する記述は見つからなかった。プログラム的になにも難しいところはないゲームなので、どんな機種でも発売されていた可能性はあるが、正直3機種分作られていただけでも充分驚きではある。
このゲーム、オープニングの短い曲がすごくいかしてて、それを聞くのもプレイする上での結構な楽しみだった。かつて弟が自分の携帯の着メロにその曲をわざわざ打ち込んで使っていたことがあったのだが、まあちょっと気持ちはわかるというか。

過去に載せた分は以下の通り。上に行くほど新しいエントリです。
[力を合わせて]:『ゲイングランド』(1988)
[麻雀に似たなにか]:『スーパーリアル麻雀P4』(1992)
(番外編):『ツインビー』(1985)
[幻のライバル]:『キャメルトライ』(1989)
[Ready Go!]:『プラスアルファ』(1989)
[終わりなきゲーム]:『ギガンテス』(1990)
[追っかけっこ]:『ポリス&ギャング』(1983)
[今度は縦スクロール]:『イメージファイト』(1988)
これより古いバックナンバーはこちら→[心に残るゲームたち]