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大学ロボコン2009/ABUロボコン2009日本代表選考会

というわけでまたなんとなく NHK つけてたらロボコンやってた。ちょうど息子も寝ていたのでわりと最初から最後まで見られて、中々幸運だったと思う次第。
今回は自動ロボットと手動ロボットで「かご」を担ぎ、かごにもう一台の自動ロボットを乗せて、「峠」を超えて「林」を抜け、最後にかごから降りた自動ロボットが三つの太鼓を叩くとゴール、というルール。
峠はゆるやかな上りスロープ、わずかな平坦部と下りスロープから構成され、林は3本のポールの間をジグザグに通り抜ける。一台で通るだけならそれほど困難でもないが、かごを担いでとなると相当難しい課題だった。本大会に出場したのは 20 大学だが、予選各2試合で一度でもゴールできたのは4大学だけだったらしい。
んでその4大学が順当に準決勝に進出してそこで対決、となったのだけど、まず豊橋技術科学大学三重大学を1秒差で下して決勝へ。豊橋技術科学大学は素早く動く自動ロボットにひたすら手動ロボットの操縦者が合わせ続ける、という凄いんだか凄くないんだかわからないシステムで勝ち上がった。ロボットとしてはともかく競技としてはありだろう。
そしてその豊橋技術科学大学を予選最終戦でゴールしないことで敢えて避けた東京大学は予選1位の金沢工業大学と対戦する。試験走行でのタイムは東京大学が9秒早かったが、試合が始まると最初にかごに自動ロボットを乗せるところで失敗して終了。堅実なパフォーマンスを見せた金沢工業大学が決勝に進んだ。
決勝では豊橋技術科学大学が持ち時計通りに走って完勝、2連覇を飾った。今年は ABU 大会が日本で行われるため決勝進出した2チームが出場となるが、この両学であれば現時点ではやはり豊橋技術科学大学に確実に分がありそうだ。
今年の競技も見てるとちゃんと面白いのだけど、ルール的にそれほど斬新なアイデアが生まれる余地がなさそうな感じではある。本大会ではいい意味で裏切られることを期待したい。しかし中国では 20 秒切るマシンもあったみたいなあおりだったけど、人間が早歩きしてもそんぐらいかかるんじゃないのかあれ。ちと楽しみ。

東大がゴールしなかったことについてはなんとも思わない。ルールにのっとって試合をして、なにか問題があるように感じられるとしたらそれは基本的にルールの不備であって、今回は個人的にはルールの不備とも思えないので。防ごうと思うならたとえば決勝トーナメントの対戦をランダムに決めるというのが簡単だと思うけど、そうすると予選上位が一方に偏ったりしてしまう可能性があって、さてどっちがいいか、という話だから。
[追記:少し修正](↑修正前の文章も残します)
東大がゴールしなかったことについてはなんとも思わない。競技者がルールにのっとって試合をしているのに、観客側からなにか問題があるように感じられたとしたら、それは基本的にルールの不備であって、責められるべきはルールであろう。まして今回は個人的にはルールの不備とも思えない。例えばサッカーのワールドカップでもグループリーグ最終戦で勝ち点4の2チームが当たり、もう1試合が勝ち点1同士の2チームの対戦だったら、前者は無理せず引き分けに持ち込むだろう。それと似たようなものでルールの綾としか言えない。
それでも、今回のように「敢えて順位を下げる」行為を防ごうと思うなら、たとえば決勝トーナメントの対戦をランダムに決めるというのが簡単だ。でもそうすると予選上位が一方に偏ったりしてしまう可能性がある。そのリスクを負ってまで防ぐべき行為なのか、と考えるとどうもそうは思えない。東京大学は予選2試合目で最終戦だったからこのような選択の余地があったわけだけど、一般的には最終戦はプレッシャーがかかって不利な立場でもあろう。一概に最終組が有利なルールとも考えづらい。ルールはこれでよかったと思うし、東京大学はその中でとれる戦略の一つを選択したに過ぎない。
ただ、準決勝において、予選で一度しかゴールできなかった三重大学が、その予選のタイムをほぼ半分に縮める最高のパフォーマンスを見せて王者に文字通り肉迫したのと、予選で二回目のゴールを自ら放棄した東京大学が、自分たちより遅いと見定めていた金沢工業大学相手に操縦ミスで競走もできずに敗れたのとは、もちろん両者とも敗れたには違いないにしても、あまりに鮮やかな対比であった、と思う。それを、自分よりはるかに強い者に対して全力で挑む者と、自分より強い者を避けて通ろうとする者とに待ち受ける運命の差だ、などというのは安直過ぎるであろうけれど。