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[文字だけのインベーダー] 心に残るゲームたち (21):『コズミックレボ』

■『コズミックレボ』 アスキーPC-60011984(『AX-3』収録)
初代の『ローグ』なんかを思い浮かべてもらえればわかると思うんだけど、昔のコンピュータゲームでは、グラフィックを用いずに文字だけでキャラクターを表現する手法は一般的だった。というよりローグの頃はそうするしかなかったわけだが、ある程度描画ができるようになってからも、主に速度を確保するために、文字だけで描かれたゲームもしばしば作られていた。このゲームもそんなゲームのひとつ。
さすがにストーリーは憶えていないが、ぶっちゃけて言えば攻めてくるエイリアンをぶっ倒せ、というもので、オーソドックスな固定画面のシューティングゲームだった。
自機は宇宙船(スペードマーク)で敵はエイリアン(ハートマーク)とその将校(&)、こちらの弾は「^」で相手の弾は「!」。
自機は最下段で左右に動けるだけ。敵は最上段とその下の段に二列に隙間なく並んでいて、下段は右から左、上段は左から右に常に一定速度で回転している。上段と下段の回転速度は同じで、いずれの敵も画面の端から消えると反対側から現れる。上段にいる敵の将校を全滅させれば1面クリアとなる。当然下段の敵を倒さなければ弾が届かない。
自機の弾はスペースバーを押下すると撃てて、押しっぱなしにしているとフルオートで連射できる。弾が一文字分敵の方(とりもなおさず上)に進む間に、ちょうど敵も一文字分回転する。そのため、その場に止まって数発続けて撃つと、敵の弾さえ来なければ隣接した敵をまとめて数機倒せることになる。
敵ももちろん反撃してきて、雑魚、将校を問わずランダムに弾を撃ってくる。弾は真下に飛んでくるだけなので避けるのは簡単だが、こちらの弾とぶつかったときは運が良くても相殺、運が悪ければ一方的に向こうの弾が勝ってしまう。正確な確率は判らないが体感的にはほぼ五分五分だった。
このゲームの肝は、こちらの弾数に制限があること。1面では 50 発で、面を重ねるごとに徐々に減っていく。一方敵の将校は最初は3匹だが、こちらはどんどん増えていく。最終的には 35 発で将校を8匹倒さなければならない。
ここまでのルールで、攻略法はおおよそ決まる。まず一箇所にとどまって、5〜6連射する。上手く行けば下段に5〜6文字分の穴があけられるだろう。穴があくと、そのあいた穴から将校が狙えるようになる筈だ。上段の敵と下段の敵の回転速度が同じなので、あいた穴から将校が狙える位置は将校ごとに完全に決まる。
あとは、穴と将校が重なる位置に着弾するようにタイミングを計って弾を撃つだけだ。理想を言えば一発撃てば当たるわけだけど、流石にそれは難しかったので数発ずつ撃っていた。ここで正面から弾を撃たれるとかなりがっかりだった。
将校を倒したら次の将校を狙える位置に移動し、これを将校が全滅するか弾が尽きるまで繰り返す。突き詰めて言えば、ただそれだけのゲームだった。
発売当時は小学生だったし、この辺のことは理解できずにただ漠然と遊んでいただけだった。それでも面白かった記憶はあるのだけど、10 年ほど前に「P6 まだ動くかなー」とか言いながら遊んだ時に、ようやく仕様や取るべき作戦を理解できた。
すべてのものが1単位時間に一文字分ずつ進み、押しっぱなしで連射が可能で、将校も一発当てれば倒せる。ごく割り切った作りが、個人的にとても好みだった。メモリ容量や処理速度の都合などもあったのだろうけど、このデジタルなサクサク感はおそらく意図して作られたものだろう。最良の戦術はわりとすぐ見えて、実行するのもそこまで難しくはなく、あとはサイコロ振ってどうなるか、という。
当時のゲームとしても文字だけというのはいかにも地味で、AX-3 に入っていた4本の中でも目立つ方ではなかったけど、時々遊びたくなるゲームだった。
最後にひとつ。
前述の通り、このゲームには各面ごとに弾数制限があって、これがかなり厳しかったのだが、相手の将校があと1匹になっていれば弾が切れても最後の手段がある。体当たりだ。カーソルキーの「↑」を押すと、自機がエイリアンに向かって一直線に突撃して、見事将校に当たれば残機は減らずに面クリアとなる。そしてこれもこのゲームらしいところなのだが、「その体当たりの速度が相対的にものすごく速い」という設定になっていて、体当たりのコマンドを入力した瞬間に自機以外のすべてのものの動きが止まる。おかげでそれなりには当てやすいが、実際後半の面はこの一機分をあてにしながら進めざるを得ない程度の難度だった。この戦法の面白いところは突進した瞬間に成否が判明するところで、外したときの空しさはなんとも言えなかった憶えがある。

メモ

  • 殆ど誰も知らないゲームについて書くのは気楽で楽しい。他に資料がない(少なくとも見当たらない)以上、下手するとこのゲームに関するテキストは世界でこれだけみたいなことになりかねないので、適当なこと書くとこのゲームが誤って伝えられる可能性すらある。が、それはそれとして読む人/必要とする人も居ないだろうし別にいいやという。実際 10 年とかそれ以上触ってないわけだからまるで間違ってないってことはない筈だと思う。開き直り方がおかしいけど。