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[シャッターチャンス]心に残るゲームたち (26):『フォトバトール』

■『フォトバトール』 ナムコ/アーケード,2001
ガンバレット』の回の最後に、続編があったことをちょっとだけ書いたが、実はそれとは別に後継者とでも呼ぶべきゲームが発売されている。タイトルは『フォトバトール』。その名の通り、カメラ型のコントローラーを搭載した写真撮影ゲームだ。筐体につながれた2台のカメラは結構インパクトがあったので、あるいはご記憶の方もいらっしゃるのではないだろうか。
ゲーム内容はなんとなくご想像のつくであろう通り、カメラを使ってミニゲームに挑む、というもの。今作ではミニゲームが「スポーツ」「スクープ」「テクニック」「アート」の4つのテーマに分かれている。その中からひとつずつ合計4つがランダムに選ばれて画面に表示され、ひとつずつ選んでクリアしていく。
本質的にはガンバレットの二番煎じに近いのだけど、カメラであるというところが肝だった。ボタンを押してからシャッターが下りるまでに若干のタイムラグがあるのだ。一発勝負系のミニゲームが多いため、クリアの可能性を高めるためにはこのラグを身体にしみこませる必要があった。
被写体は実写取り込み系の映像が多く、ガンバレットのようなコミカルなグラフィックでこそなかったが、独特のユーモアも受け継がれていた。逃走する車のナンバープレートを撮影するとか、湖に現れる幻の恐竜の姿を撮りまくるとか。人形のパンチラをひたすら撮り続けさせられる「TRICK WIND」に至っては、プレイしながら「おれはなにを必死になってるんだろう……」と思わずには居られなかったものだ。
すぐにレスポンスがある銃とは違い、写真はできてみるまで写り具合がわからない。フィルムの枚数が少ない面では、シャッターを数度切ってから祈るような思いで結果発表を待つことになる。このゲームでは判定が比較的甘く、多少フレームから切れていても「おまけOK」といって撮れたことにしてくれた。
ミニゲーム詰め合わせ系のゲームの続編を作るときには、つねにアイデアの枯渇と難度調整の難しさが課題になる。タントアールもそうだったし、ガンバレットもその壁に突き当たった。だけど、ちょっとアプローチにひねりを加えることで(たとえば、銃をカメラに変えてみる、とか)、それをある程度まで回避することができる。フォトバトールは残念ながらあまりヒットしたわけでもなかったようだが、続編ものとしてよくできたゲームだったことは間違いない。
12 ステージまでミニゲームをクリアすると、ゲームは思わぬ方向に転回する。「突然ですが、あなたのもっているそれは実はカメラではありません。」不意打ちのメッセージが表示される。どういうことだ……と狼狽するプレイヤーの前に、容赦ないラストステージが待っている。なんとこのゲームは人類全能化計画の一貫だったのだ。人類全能化計画ってなんなんだ、って話については、またいずれ説明する機会もあるだろう。
このゲームはミノルタ(現コニカミノルタ)とタイアップしていて、コントローラーのデザインは実在するカメラの機種を模していた。また、グラビアアイドル藤本綾が出演している(水着姿でビーチチェアにただ座っている藤本綾の顔だけを延々と撮影するというミニゲーム)(まずミスしないぐらい難度が低い)というのも売りのひとつだった。しかし、今やコニカミノルタはカメラ業界から撤退し、藤本綾はデビューからわりと間もないうちにアイドル生命を絶たれた。残念ながら、なんともツキがないゲーム、ではあったのかも知れない。

メモ

  • 今回は軽めに。実際のところ稼働期間が短く、ガンバレットに比べるとずっとプレイした回数自体も少ない。好きなゲームではあったけど、そこまで書けることも多くはないというのも正直なところ。
  • ただ、文中に書いた難度とアイデアの問題は、程度の差こそあれ全てのゲームに通じる問題ではある。フォトバトールの「ひねり」はいい試みだと感じていたのだが、根本的な解決にはつながらない方向なのかも知れない。
  • 岩本隆雄の『ミドリノツキ』にフォトバトールが登場する。それもストーリー上多少意味のある役回りなのだけど、正直当時ですら「なぜフォトバトール?」と思ったのは否めず、今となっては時の流れを感じさせずにはおくまい。