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[キャノンボール]心に残るゲームたち (2627):『ポンピングワールド』/『スーパーパン』

■『ポンピングワールド』 ミッチェル/アーケード,1989
■『スーパーパン』 ミッチェル/アーケード,1990
ナムコセガのゲームが続いたので、ここらで少し知名度の低いメーカーのゲームをとりあげてみよう。もっとも、ゲーム自体は非常に出回りがよかったので、メーカーは知らずともこのゲームのことはご存知の方も多いかも知れない。
『ポンピングワールド』がシリーズ最初の作品で、『スーパーパン』はその翌年にリリースされた続編にあたる。以後『Pang!3』『マイティパン』と4作までシリーズを重ねたが、ここでは前2作についてのみ触れることとする。
サイドビューのアクションゲームで、画面上を放物線を描いて跳ね回っているボールをワイヤーで全て割るのが目的だ。ボールは大きさによって床から弾む高さが決まっており、大きいものほど高く跳ねる。ワイヤーは発射したところから上に伸びていき、天井に届くと消える。消えるまでの間は、ワイヤーのどこにボールが触れても割ることができる。ボールは割れると半分の大きさのボールふたつになる。一番小さなボールは割ると消える。
ボールはプレイヤーの動きに関係なく動く、というところが面白かった。ただ床で弾み、壁と天井で跳ね返りながら跳ね続けているだけなのだ。大きいボールは狭い場所では天井にぶつかるから対処しづらく、かといって小さいボールはバウンドが低いからかわしづらい。その辺りを考えながら割る順番を決めていかなければならない。
操作は4方向レバーと1ボタンで、上下左右の移動とワイヤー発射にそれぞれ割り当てられている。主人公がジャンプできないのが今日日(といっても 20 年前だが、その当時でさえ)のゲームではかなり珍しい。
ステージは床とはしごと壊せるブロックで構成されている。上下移動ははしごで行うか、下りるぶんには飛び下りることもできる。壊せるブロックにはワイヤーを下から当てると壊すことができる。
ボールを割るか、壊せるブロックを壊すと、アイテムが出現することがある。ワイヤーが2連射できるようになるダブルワイヤー、ワイヤーが天井に突き刺さってその場に残るパワーワイヤー、少しの間敵の動きが止まる時計、全てのボールが一番小さなボールになるまで割れてしまうダイナマイト、残機が増える弥七など。
アイテムは面によってある程度決まっていて、面によって出やすいアイテムや決して出ないアイテムがある。特定のアイテムさえあればどうにかなる面もある一方で、ダイナマイトなどはなるべくならあまり取りたくない。この辺りのバランスがよくできていて、アイテムに存在感があったし、うまく運を絡めると同時に展開に広がりを持たせていた。上でも書いた通り基本的にボールは物理法則に従って跳ねているだけで、そこには乱数の入り込む余地がないため、これは結構重要な要素だった。
二作とも、ボールを退治しながら世界中を回る、という体裁になっていて、いろいろな国や都市をめぐっていく。各国/都市がそれぞれ2面ないし3面で構成されていて、背景である当地の風景が面ごとに午前中→夕方→夜と変化する。ゲーム上は殆ど全く意味がなかったんだけど、結構単純に楽しかったし、キャラクターに華がないから、気の利いた趣向だったと思う。全体ではいささか長すぎたきらいはあるものの(ポンピングワールドは全 50 面、スーパーパンは 40 面)、ステージのヴァリエーションも幅広く、飽きるような類の長さではなかった。
ただ、死なずに進んだときの難度上昇はすさまじかった。いちどスーパーパンでノーミスだか1ミスだかでカナダ(確か 28〜30 面)までたどり着いたことがあったのだけど、ボールの速さがえらいことになっていて、そのカナダをクリアすることができなかった。残機は8人だか9人だか居たのだが、死んで死んで死にまくったのを憶えている。
上手くなっているのが微妙にわかりにくいゲームではあるが、それでもやっていれば進めるようになるもので、最終的にはこの二作はワンコインでクリアすることができた。それぞれ最終面はいかにも最後という構成と難度で、クリアできた時はかなりの達成感があったものだ。
直観的な内容、単純な操作、それでいて遊ぶごとに違う各面の展開、適正な難度とプレイ時間。多くのゲーセンで息長く稼働していたのも肯ける。日本での成功以上に海外ではヒットしたのだそうだが、なんとなく判るような気もする。
冒頭にも書いたとおり、このあとシリーズは『Pang!3』『マイティパン』と続く。だが流石にマンネリと難度上昇は厳しく、前者はそれでもそこそこやったもののクリアまでは続けられず、後者は殆どやらないうちに姿を消した。ネットの噂によるとマイティパンは、発売されてから5ヶ月もの間、日本中でだれ一人クリアできない状態が続いたのだとか。ここまで極端な難度のゲームも珍しく、それはむしろあっぱれとすら思ってしまうけど。

メモ

  • 以下追記。初代ポンピングワールドでは 1UP アイテムが弥七で、ボーナスキャラクターとして「モビ」も登場した。というわけで、販売はカプコンがしていたらしい。確かどこにもクレジットされていなかったと思うのだが。
  • スーパーパンには上述した世界中をめぐる「ツアーモード」とは別に、地形のないステージで延々と画面上端から湧いて出るボールを割り続ける「パニックモード」というモードもあって、これはこれでかなり熱かった。ただ個人的にはどうしても割高感があってあんまりやりこんでおらず、大したことは書けそうにないので書いていない。
  • そういえば以前書いたこの曲はスーパーパンのモードセレクトで使われている。まじいい曲。ポンピングワールドにしてもスーパーパンにしても BGM はいい曲が多く、そこも個人的には評価が高い部分だ。スーパーパンのベネチアの曲が好きだったなー。
  • ミッチェルについてはこの作品で書かなければもう書く機会もないかな、という感じもするのだけど、一応もうひとつワンチャンあるかな、というタイトルがあるのでここは敢えて書かないでおく。いやなんだワンチャンって。