黄昏通信社跡地処分推進室

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ツイッターで予告しててひと月以上書いてなかった話。
教育テレビでやっている『カラフル!』という番組がよい。小学生ぐらいの子供を主役にした短いドキュメンタリー風の構成で、たいていの場合その子供は何らかの問題を抱えているか、あるいは少し特別な立場に置かれている。
たとえば先日見た番組ではお父さんがいきなり脱サラして農業を始めちゃった家の兄妹が主人公だった。一日たりとも休めない農作業や家畜の世話を、それでもきょうだいは頑張って手伝う。お父さんはそれに対しておこづかいを渡す。小遣いを持ってお菓子を買いに行くのが兄の最大の楽しみで、駄菓子をいろいろ買いこんできては妹と分けて食べている。たぶん、同世代の子供たちに比べると、遊ぶ時間はずっと少なくて、野菜の収穫やら鶏の餌やりやらに費やす時間が長い。父親は郵便局員だったというから、いい暮らしではないかも知れないけどそれなりには安定した生活だった筈だ。なんでこんなことになっちゃったんだろう、という思いは内心絶対あるだろう。それでも、そういうものだという風に日々を送る少年がすごく大人びていて、なんだか妙に感心してしまった。
少し前に見た回では、ドイツの少年が主人公だった(国内で作る回と、国際共同制作の回がある)。その少年は吃音に悩まされている。サッカーが大好きなのだけど、コーチが吃音を嫌って少年を全然相手にしてくれず、結局クラブを止めることになってしまった。友人とボールを蹴る時は楽しいが、それだけじゃつらい。少年は一念発起して、吃音を矯正するクラスに通い始める。おれは吃音の矯正というのはカウンセリングのようなものだろうと勝手に思っていたのだが、番組に登場したクラスでは吃音の原理から説明していた。曰く、横隔膜が上下に痙攣することが吃音につながる。だから、話すときに、胸郭に力を込めて横隔膜を上に押し上げ続けることが克服につながるのだという。地道でつらいトレーニングに、少年は弱音を吐きながらもがんばってついていく。後半、実地で話す訓練を課されるのだが、これがまたすごくて、そのクラスの行われる施設の周辺で、知らない女性に話しかけて電話番号を聞き出す、という内容なのだ。緊張する状況でもなお吃音を起こさずに済むことが目標だから。少年はその課題にも果敢に挑み、初対面の女性に電話番号を訊く(もちろん訓練だということは話す)。それでさらにすごいなと思ったのが、訊かれた女性も普通に断ったりしてること。まあ考えれば当然断ってもいいわけだけど、(日本だと)そういう風に訊かれたらなんとなく答えちゃう人多いんじゃないかと思う。
そんな調子で、なかなかいい番組なので、目にした方はちょっと気にとめてみてください。まあ放送時間木曜日の午前中とかなんだけども。