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オグリキャップが死んだそうだ。おれが競馬を見始めたのは実質的には 1991 年秋からなので、オグリキャップにはぎりぎり間に合わなかった。でも、当時の競馬ブームがなければおれは間違いなく競馬を始めていなかっただろう。そしてオグリキャップが居なければ競馬ブームは少なくともあのような形ではなかっただろう。
とはいうもののオグリキャップに殊更思い入れはない。おれの見ていないスーパーホースというだけだ。見ていないから思い入れがない、というわけではない。おれは例えばスズマッハの現役時代は一切知らないけど、もし見ていたら絶対ファンになっていたと思う。グランパズドリームも然り。そういうのがある。競馬ファンならみんなあるだろう。その観点からして、おれはオグリキャップをオンタイムで見ていたとしてもファンにならなかった筈だ。


オグリキャップイナリワンスーパークリークの三強はぎりぎり競馬観始める前だったりする。それでももし自分がオンタイムで観ていたら、きっとイナリワンを一番好きになったことだろう。
この見解は変わっていない。
ところが、おれはオグリキャップを生で見たことがある。家族旅行で北海道に行った時に、優駿スタリオンステーションに立ち寄ったからだ。オグリキャップは公開されている放牧地の、しかし見学者からは離れた方の端に居て、あまり動かなかった。くたびれているみたいに見えた記憶があるけど、あの距離だったから判断はあてにならない。
いずれにしても、どこかおれにとっては遠いところに居る印象がある馬だった。凄い馬だった、ということは知っている。でも、遠いところに居た馬が、いよいよ手の届かないところに行ってしまったのだ、という印象が、自分には一番しっくり来る。冥福を祈る。