黄昏通信社跡地処分推進室

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  • 気がつくと 2011 年であるから、おれたちは『BREAK-AGE』に描かれていた年を過ぎてしまった。どんぐらい過ぎているかというと、今年の3月に長船 *1が卒業するレベル。デンジャープラネットが発売される気配はない。いくつかの点では現実が漫画を追い越しているし、決して辿り着きそうにないものもまた残されている。少し前に夢想された未来というものの懐かしさというのは独特だ。
  • デンジャープラネットで面白かったのは、機体のデータを家で好きなだけいじり放題というところだ。カスタムツールや素になる機体は売っているが、作中には「ネジ一本から手作りしている」という科白があるので、かなり自由は効くようだ。となればチートし放題ということになってしまうが、ここからが肝で、データはゲーセンにあるコンバータで専用のメディアに変換しないと使えない。物理的におかしい機体や武器などはここではねられる(んだったと思う)。現実的にはツール開発や機体販売などにコストがかかり過ぎるだろうし、コンバータもよく考えるとなにをどうしてるのかさっぱりわからないし、実現性はほぼ0だが、「こうなったらいいな」感と「なるほどこの方法ならなんとかなるかも」感が両方あったので、フィクションとしてはよかった。
  • 本編は、振り返ってみると、全体としてはいびつな構成になっている。主人公がヒロインに髪飾りを贈るのも、ビリーが登場するのも全 10 巻中の2巻。それでいて後半引っ張り続けた事件のオチがあれであるから、なんともアンバランスだったという印象は否めない。しかし四コマ出身の作者が漫画誌で持った初連載、それも全くノリの違うストーリーマンガだったのだから、序盤はよほど気合いが入っていた筈だ。実際序盤の密度の高さと面白さは特筆すべきものがある。もう少し広く知られてもいい作品のようには思う。

*1:部長