黄昏通信社跡地処分推進室

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先日「Song 2」の話を書いたときに「短い曲フェチ」という言葉がキーボードから滑り出てきて、自分でも面白かったので、好きな短い曲を思いつくままにいくつか挙げてみる。

Self Healer / Idlewild (1:59)
この曲ほど前のめりな曲をおれは他に知らない。それぐらいつんのめってる曲。短い歌詞(1番しかなくて2回繰り返している)、がなるヴォーカル、走りすぎてるドラム、もう聞いてる方が前傾姿勢になってしまうような疾走感で、最初聞いたときはなんじゃこりゃと思ったがはまると実に気持ちいい。たぶんこれリリースしたときはメンバー 19 歳とかで、まあこれが若いってこと、ではあるのだけど、それでもここまでの疾走感は誰にでも出 せる類のものではないと思う。アイドルワイルドは特に初期に短い曲が多く、他にも以前書いた「There's Glory in Your Story」などがある。最近書いた気がしてたけど、これ6年前なのか……。
Leave Me / Kleenex Girl Wonder (2:54)
日本では商標の関係だかで Kleen Ex-Girl Wonder と名乗っていたアメリカの宅録/ローファイ系バンド、クリネックス・ガール・ワンダー。バンドの形態は辛うじてとっていたものの、実質はフロントマンたるグラハム・スミスのひとりプロジェクトに近いものだったようだ。1st アルバム『Ponyoak』は くそださいジャケットに包まれた CD に情熱だけは伝わってくるへたくそな歌が収めも収められたり 25 曲、という「怪作」としか表現しようのないアルバムだが、演奏と歌唱の技術に目をつぶれば意外に聞ける。特にこの曲は小走りのような軽快な出だし、サビ前の露骨なため、そこから1フレーズ横に展開してからサビ、とサービス精神に富んだ作りに乗って持ち前のポップなメロディが披露される佳曲。肝腎のサビでは声が裏返っているがそれも味と言えないこともない。自分で書いてるんだから出せる音の範囲にしとけや、という気もするけど。
野ばら / 奥田民生 (2:48)
ミニアルバム『FAILBOX』に入ってる小品。言ってみれば「綺麗な民生」的一曲で、歌詞もメロディもアレンジもリリカルかつキュート。こんな曲も作るんだ、というのが第一印象だったけど、聴き込んでもすり減らない確かな曲だと思う。このミニアルバムには他にも(短い曲じゃないけど)パフィーのことを歌ったと言われる「陽」も入っていて、そっちも好い曲。かと思うと「カヌー」みたいな曲も入っていて、全体ではまあ民生だなあという感じではある。
I Just Threw out Love of My Dreams / Weezer (2:39)
ロサンゼルスのとっても UK っぽいうじうじロックバンド、ウィーザーのアルバム未収録曲。「The Good Life」の CD1 に収められている。ボーカルに当時ザット・ドッグのベーシスト/サイドボーカルだったレイチェル・ヘイデンを迎えているのがユニークなところで、これがまた実に曲に合っている。少しだけこもったところのある声質で、寂しげな響きが健気な歌詞とあいまって切ない。前奏無しでほぼいきなりレイチェルのボーカルから入り、最後も後奏無しでタイトルラインの「I just threw out love of my dreams」で終わる、という構成もボーカルの印象を強める効果をあげている。素晴らしい曲。
ところでこの曲、ドラッグを題材にしてるという説もあるらしい。で、(同じくドラッグソングと言われている)「There She Goes」との類似性を指摘してる人が居て、ほはーって感じ。まあほんとにそうなのかも知れんけど、別にわざわざそう考えんでもいいよね、とは思う。