黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

大学ロボコン 2011/ABU ロボコン 2011 日本予選

というわけで大学ロボコンである。今年の開催国はタイで、テーマは「ロイ・クラトンの火をともせ!」。詳しいルールはこちらを参照してもらうとして、ざっくり言えばオブジェ運搬/組み立てが主なミッション。相互作用には乏しく、比較的ソロゲームに近いバランスだ。
勝利確定はオブジェをすべて組み上げる「ロイ・クラトン」だが一筋縄では行かず、オブジェの土台を川面に見立てたぐらぐら揺れるシーソーの上に載せ、最後に自動ロボットで炎のパーツを投下して、オブジェ中央の蝋燭にかぶせなければならない。ルールを見たときには時間内にここまでこなすのは難しいだろうという印象を受けた。
しかし流石は本朝の誇るロボコンエリートたち、この課題なら3分以内にこなしてしまうチームが複数ある、どころか速いチームは2分を悠々切っていた。
中でも東京大学は驚異的な速度と安定性を誇っていた。何千回と試走を重ね、何百回も模擬試合でロイ・クラトンを成功させていた。第1試合の前にリーダーがメンバーを集めて檄を飛ばしていたのだが、「練習でやってきたことをあと5回やれば優勝だから。テストランとおんなじことをやればいいから」というようなことを言っていておおってなった。死亡フラグ同然のこの言葉を、軽々と言ってのけられるのはよほどの自信があるに違いなかった。
結果を書いてしまうと、東京大学がその言葉通りに5連勝、すべてロイ・クラトンを決める完全勝利だった。ABU 大会を制した 2005 年以来代表から遠ざかっていたが、今年は久々に抜けた強さであったと思う。
手動ロボットは派手さはないが堅実で、なにより操縦者の練度が並々ならぬ高さだったし、自動ロボットも実にスムーズな連携で、最後オブジェに炎を落とすシステムはカメラの映像を解析して蝋燭の動きを先読みするという代物だった。他の大学とは完成度が目に見えて違った。近年日本のレベルは相対的に落ちてきていて、代表は ABU 大会では苦戦を強いられるのが常だが、今年はもしかすると、と思わせるものがあった。
ひとつ不安なのは最初の台を取るところで、3つ並べて取ると妨害されやすいので、ということで最初に2つ取ることにしているのだけど、それで相手を遅らせられるメリットよりは単純に2往復するロスの方が大きいように感じられること。「単純に最速で3つ取る」ことが最良の策のように思われる。本戦でどう戦うか注目したい。
他の大学は残念ながら今年は東京大学の引き立て役か、あるいはそこに辿り着けずに姿を消したかどちらかだったが、準々決勝で東京大学に敗れた三重大学(ここも強豪だ)が唯一面白い作戦を見せてくれた。最後にオブジェを載せる板がシーソーになっていることに着目し、相手チームが炎を落とす体勢に入ったところでシーソーの反対端に自分たちのオブジェを落とし、シーソーを大きく傾がせて再接触違反の減点を誘うというものだ。確実性が低すぎて主戦術としてはなしだろうが、とても勝てそうにない相手になら狙う価値がなくはない手かとも思う。実際の試合では動き出しが遅すぎ、オブジェを落とす前に炎を乗せられてしまって敗北となった。
ABU 大会は 2011-08-28 だそうです。