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大学ロボコン 2011/ABU ロボコン 2011 於バンコク

というわけで ABU 大会である。今年は久々に日本代表となった東京大学がかなり期待できそう、という思いで見ていた(参照→日本予選の感想:http://d.hatena.ne.jp/natroun/20110719#p1)。
予選ラウンドでは四連覇中の中国(武漢科学技術大学)が敗退するまさかの大波乱。初出場のラオス(ソウトサカ経営技術大学)相手にマシントラブルと反則が重なって 30 点しか獲得できず、ラオスがぎりぎり3分いっぱいかけて稼いだ 50 点に及ばなかった。もう一試合は中国はブルネイブルネイ・ダルッサラーム大学)に大楽勝したものの、ラオスブルネイにも勝っていて万事急須。勝負の恐ろしさを思い知らされた。中国の国内予選での最高タイムは 51 秒だったそうで、力を出し切れればおそらく優勝だっただろう。大舞台で力を出し切ることはかように難しい。
東京大学は予選ではネパール(トリブヴァン大学)とインド(ニルマ工科大学)をいずれも1分台前半のロイ・クラトンで下して順調に勝ち上がったが、準々決勝でタイ1(ドゥラキープーンジット大学)と対戦。最初の蝋燭台を置くところで進入争いに敗れ、さらに蝋燭台に飾りを乗せるところで自動ロボットがミスしてしまい勝負あった。
かに見えたが、最初の進入争いの判定が審判団の協議によりくつがえり再試合という裁定になる。東京大学にしてみれば失うものはなく、タイにしてみれば勝っていた試合をやり直させられる苦しい展開だ。その再試合、案の定タイは最初の蝋燭台を取るところで躓き大きく出遅れる。自動ロボットが動き始めたのはほぼ同時で、いい勝負になるかと思われたのもつかの間、東京大学の自動ロボットが1試合目と全く同じミス。同じミスを繰り返す者に勝利の女神が味方するはずもなく結局タイの勝利となった。
結局そのままタイ1が勝ちあがり、決勝ではタイ2(カンパエンフェット技術大学)と同国対決になるも、最初の進入を制してそのまま 1 分 03 秒で押し切った。全体的にそつなくできていて、優勝するにふさわしいロボットであったと思う。中国が無事であればとも思うものの、確実性の低さはそのまま実力の低さでもある。
放送された試合とトーナメントの結果を見るに、東京大学の力量はおそらく全体の3位から4位ぐらい。しかし優勝校とは再試合を含めて2回やって2回とも負けた通り、ある程度以上運を味方につけなければ優勝はあり得なかったと思う。特に残念だったのは国内予選の時に書いた

ひとつ不安なのは最初の台を取るところで、3つ並べて取ると妨害されやすいので、ということで最初に2つ取ることにしているのだけど、それで相手を遅らせられるメリットよりは単純に2往復するロスの方が大きいように感じられること。「単純に最速で3つ取る」ことが最良の策のように思われる。本戦でどう戦うか注目したい。
この不安材料が完全に的中してしまったこと。おそらく「最速で3つ取る」ことがこの部分のアンサーであり、そこにたどり着けなかったのは戦略的な失策だ。
そして、今年の課題で相互作用があるのはここと水面しかない。試合開始直後のここを制することができれば、試合全体の主導権を握ることができるのだ。東京大学はその点だけを見誤っていた。
直近数年に比べれば、世界との差ははるかに縮まった。ロボコン大賞受賞も含めて立派な結果であったと思う。胸を張って帰って来て欲しい。いや、とっくに帰ってきてるんだけど。

  • 番組の作りはかなりよかったけど、決勝トーナメントは全部やって欲しかった。特に準決勝のベトナム対タイ2は反対側の山では最良のカードだった筈。
  • 参加国数が半端だったのはなんぞ? と思ったけど調べてみたら毎年こんなもんだった。17〜19 チームぐらいらしい。たとえば今年で言えば韓国が出ていなかったりとか、細かい出入りが毎年あるみたい。
  • インドネシアは一度も映してもらえてなかったが予選で1勝1敗であっさり敗退していたらしい。ついでに書くと代表はスラバヤ電子ポリテクニックじゃなかったらしい。
  • ツイッターの実況ポストのまとめがあった。→ABUロボコン2011放送実況 -- togetter 実況だからあとから見て楽しいことそんなに書いてないけど。