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NFL 2012 -- AFC Divisional Playoff

今更だが覚え書きとして。(2013-02-08更新)

Baltimore Ravens (#4/North) @ Denver Broncos (#1/West)

思えばブロンコスにとっても遠くへ来たシーズンである。昨年に続いてのディヴィジョナル・プレイオフだが、共通しているのはそこだけと言ってもいい。昨シーズン中に何度も「マジック」を見せ、8-8 で奇跡的に地区優勝を果たし、圧倒的不利と見られたワイルドカードレイオフをオーヴァータイムの末勝ち上がった原動力となった*1ティム・ティーボウはしかしチームを去った。首の怪我で昨シーズンを棒に振ったペイトン・マニングが加わって迎えた今シーズンは、序盤こそもたついたものの Week 6 の大逆転勝利以来 11 連勝でレギュラーシーズンを終えて、第1シードでホームアドヴァンテージを持ってこのディヴィジョナル・プレイオフに臨む。
一方のレイヴンズはワイルドカード・プレイオフで勢いのあるコルツをタッチダウン無しに押さえ込み、シーズン終盤に上向きつつあったディフェンスが好調だ。レイ・ルイスのラストゲームを1試合でも引き延ばすべくチームがひとつになっているのも好材料と言える。
ディフェンシヴな展開になるかと思われた試合は、しかし意外なほど早く動き出す。レイヴンズの最初の攻撃をスリーアンドアウトで押さえたブロンコスが、そのパントリターンで 90 ヤードのリターンタッチダウン。飛びすぎたパントがリターナートリンドン・ホリデイに広すぎるスペースを与えてしまった。
そこからはタッチダウンの応酬になる。フラッコがトーリー・スミスへ前半だけでロングパスを4本投じると、1対1のマッチアップになっていたチャンプ・ベイリーを4回とも抜き去り、2回は見事にヒットしてタッチダウン。これにインターセプトリターンタッチダウンを加えてレイヴンズは前半で 21 点。
マニングも正確なレシーバー選択でドライブを進め、ストークリーへの鮮やかなパスを右隅に落として1本、2Q に入ってからは今度は RB モレノのフック&ゴーで再び右隅へもう1本。マニングらしい、今季のブロンコスらしい精確なタッチダウン2本を加えてこちらも前半で 21 点。
後半は開始直後に再びホリデイの、今度はキックオフリターンタッチダウンブロンコスがリードするが、レイヴンズもランを使い出してタッチダウンを返して 28-28。4Q になってからマニングがもう1本タッチダウンパスを通して、35-28 とブロンコスは四たび勝ち越す。
レイヴンズは 4Q の残り4分弱で敵陣まで攻め入りながら 4th ダウンギャンブルに失敗し、これでほぼ終了かと思われたが、ディフェンスが踏ん張って、タイムアウトを連発しながらツーミニッツも絡めて残り 1:15 でブロンコスをパントに追い込む。コルクウィットのパントは滞空時間が長く、ジャコビー・ジョーンズは諦めてフェアキャッチ。自陣 23 ヤード地点から、残り 1 分 10 秒タイムアウト無しでレイヴンズは最後のドライブを始める。
パス失敗。パス成功、10 ヤードほどのゲイン。スクランブル、インバウンズでダウン。時計が回る中、次のプレイ。当然のノーバック、フラッコはプレッシャーを受けながらステップアップして右サイドへロングパスを投じる。ターゲットはジョーンズ。CB は抜いていたが、パスがやや短く足が止まる。だがブロンコス S ムーアの戻りがあまりに遅い。そのうえ、手前でボールに向かってジャンプしてしまう。手は遠く届かない。ジョーンズの手に、すっぽりとボールが収まる。前には誰も居ない。タッチダウン
残り 31 秒で、5回目の同点。
オーヴァータイムは両軍疲れを隠し切れない状況になって泥仕合の様相を呈したが、15 分の終わり間際にミッドウェイ付近でマニングがインターセプトを喫して万事休す。右へ流れながら左へ投げる、いわゆる教科書レベルのやっちゃいけないプレイで、不用意としかいいようがないパスだった。返しの攻撃でレイヴンズはちょっと進んでフィールドゴールを決めて 38-35 で勝った。ダブルオーヴァータイムに突入していた。
正直地力ではブロンコスが勝っていたと思う。試合も概ねその通りの経過だった。だがレイヴンズは何度リードされても切れず、相手のミスを逃さず、フラッコ最大の武器であるロングパスを執拗に用いて得点を重ねた。勝つための戦術を工夫して、選手たちが諦めずに実直にそれを遂行したうえでの勝利だった。見ごたえのある試合だった。

  • オーヴァータイムの 15 分が終わったらまたキックオフからやり直すのかとなんとなく思っていたのだが、違った。普通にコートチェンジだけして状況は引き継ぐのだった(レギュラータイムの 1Q/3Q 終了時と同じ)。もしかしてマニングこれ勘違いしてたんじゃないか? とか思ってしまったのだが、流石にそれはないか。

Houston Texans (#3/South) @ New England Patriots (#2/East)

もうずいぶん経ってしまったので簡単に。ペイトリオッツが完勝した。テキサンズはシーズン終盤から何故か元気がない印象で、劣勢に陥ってもそれをひっくり返そうという気概が感じられず、ずるずると負ける試合が目立ったのだが、この日もまさにそのパターン。レギュラーシーズン前半あれだけ勝ちまくったのはなんだったのだろうか。ペイトリオッツにはシーズン中大敗していてここはそのお返しをしたいところでもあった筈だがそれも敵わず。

*1:この辺りのくだりあらためて書いててもフィクションみたいって思う。映画化希望。