黄昏通信社跡地処分推進室

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妻とレストランでお昼を食べていた時、隣のテーブルにカップルが案内されて来た。ふたりが席に座ろうとしたとき、どちらかがなにかをひっかけるかなにかして、テーブルの上にあった氷水の入ったピッチャーが床に落ちた。おれはそちらが視野には入っていたが見てはおらず、氷が床に当たる音を聞いて初めて異変を知覚した。こつーん、こつーん、とふたつみっつ氷が落ち、氷が落ちているということはピッチャーがひっくり返っている筈だ、というところまでは考えが進まないうちにピッチャーは床にぶつかって粉々に砕け散った。スローモーションで見えるにはほど遠かったが、しかし通常の認識とはいささか違うようだったとも(後から考えれば)思える。中々得難い体験だった。そうそう味わいたいものでもないけれど。