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NFL 2013 -- Week 3, part 2

今週は5試合。たぶんこれぐらいが限界。

Houston Texans (2-1) @ Baltimore Ravens (2-1)

たったひとつのプレイでがらりとモメンタムが変わる。アメリカンフットボールに限らずどんなスポーツやゲームでも起こることだが、これほど鮮やかなものも珍しい。
2Q 終盤、テキサンズのドライブ中、スコアは 6-3 とテキサンズがリード。得点差こそわずかだったが、ここまでの内容は圧倒的にテキサンズが上回っていた。ボールを所持していた時間も、ゲインした距離もはるかに上だった。タッチダウンに辿り着くのも時間の問題だと思った。ディフェンスも素晴らしかった。フラッコにプレッシャーをかけ続け、まともに仕事をさせなかった。3点しかリードがないのが不思議なほどだった。そのパスをマット・ショーブが投じるまでは。それがインターセプトされて、リターンタッチダウンになるまでは。
次の攻撃権でテキサンズはドライブを続けられない。パントを蹴る。レイヴンズは正リターナーのジャコビー・ジョーンズが負傷で出られず、リターナーは3年目の WR タンドン・ドス。正直に言うが、おれはその選手の名前を初めて聞いた。その耳慣れない名前の選手が駆け上がる。ブロッカーもなく、ステップを切って、サイドラインぎりぎりを、ひとり走る。最後はエンドゾーンにダイブした。またしてもリターンタッチダウン。あっという間に 6-17 になってしまった。
その 14 点にオフェンスは一切寄与していないのに、後半に入るとレイヴンズのオフェンスは一変する。パスプロテクションが保つようになり、フラッコの持ち味であるロングパスが決まり始める。対照的にテキサンズのオフェンスは意気消沈してしまい、結局後半は1点も取ることができなかった。9-30 でレイヴンズの勝ち。

  • フラッコは 16/24-171yds-0TD-0INT。so so というところだけど元々こういうキャラなんだよな。むしろ後半よくまとめたというべきだろう。あと左サイドにもロングパス放ってて感心した。NFL 6年目にもなって何言ってるんだって感じだけど昨年のプレイオフで解説の村田斉潔氏に「ロングパス右ばっかりなんですよねー」とか言われてたのだ(そして確かにおれもそう思ってた)。
  • ショーブは 25/35-194yds-0TD-1INT。これだけ見るともっと点取ってて全然おかしくないのだが、たった1本のインターセプトが致命傷になってしまった。
  • 昨季限りで引退したレイ・ルイス氏がチームの殿堂入りということでハーフタイムのセレモニーに備えてサイドラインで試合を見ていたのだが、8ヶ月前まで現役だったごついガタイを窮屈そうにスーツで包みサングラスなんてしてたもんでほとんどヤクザみたいな風体だった。タンドン・ドスのリターンタッチダウンの時ちょうど目の前を通っていくドスに向かってなにやら叫びながらぐるぐる手を回していて面白かった。アテレコするなら「そのまま! そのまま!」だな。

Oakland Raiders (1-2) @ Denver Broncos (3-0)

マンデーナイト。
こないだも書いた通り今季のスケジュール強度(レギュラーシーズンでの全対戦相手の昨年度の勝率を平均した数字)はブロンコスが一番低いのだそうで、どうしてかと言えば同地区にレイダーズ(4-12)とチーフス(2-14)が居るからに他ならない。ついでながら同カンファレンス他地区との対戦でジャガーズ(2-14)とも当たる至れり尽くせりのスケジュールだったりする。
だから、レイダーズ、頑張れ! というマッチングだったのだけど。
試合はファーストドライブからブロンコスタッチダウンをあげ、そのままどんどん得点を重ねて逃げきり勝ち。ペイトン・マニングは開幕からの3試合でのタッチダウンパス数の新記録を樹立した。この試合 NHK-BS1 で見てたのだが途中あんまりにも見せ場がないせいか「今季のペイトン・マニングタッチダウンパスコレクション」とかいって全タッチダウンパスの映像を見せたりとかしてて中継もひどいもんだった(しかも2回もやってた)。
レイダーズは今季からテレル・プライアーがスターターの QB をつとめているが、走りまくるでもなくこれといってインパクトのない試合ぶりだった。途中1回プライアーから RB マクファッデンにピッチして、マクファッデンがエンドゾーンへパスという絵に描いたようなワイルドキャットが決まっていてそれにはしびれたのだが(ふわっと浮かせた妙に巧いパスだったのだ)、しかしこんな試合のこんな場面で出してどうするのだというところではあり。
今季も AFC 西地区は無風が続くのか、それともチーフスが旋風を起こせるのか、少なくともレイダーズは無くなったなというのがこの試合の印象。

Other games

ARI(1-2) 7-31 NO(3-0):うお、セインツ強えーな。やっぱこうでないとな。昨年壊滅していたディフェンスが持ち直しているらしいのがなにより心強い。ブリーズのパス成功率がちょっと低いのだけがひっかかるが、まず言うことのない勝利。カーディナルズはオープニングドライブでタッチダウンをあげながらその後は沈黙。パーマーがパスラッシュにかなり苦しんだらしい。
SD(1-2) 17-20 TEN(2-1)チャージャーズまたしても逆転負け。スタッツ見る限り悪い試合してなさそうなんだけどねえ。ここはタイタンズをほめるべきか。特にロッカーはよかったようで、最後のドライブも 2:05 タイムアウト無しで 94 ヤードを進みきった。34 ヤードのタッチダウンパスも見事。リヴァーズは 20/24 と見事なコントロールを見せたが勝ちにはつながらず。最後のプレイなんてラテラルパス7本もつなげててチーム自体はまだ死んでないと思うんだけど、頑張って欲しいものです。
CLE(1-2) 31-27 MIN(0-3):これはいかん。ヴァイキングズ、プレイオフ進出へ向けて黄信号だ。というか赤信号に限りなく近い感じだ。なにしろブラウンズは今週昨年ドラフト高順位で採ったばかりのエース RB トレント・リチャードソンを来年のドラフト指名権と引き換えに放出して、もう今季は諦めたような状態になっている。それを裏付けるかのように今週からバックアップ QB のホイヤーを先発させてきた。それがこの結果だ。そして負け方もよくない。全試合で 30 点以上取られている。こう言っちゃなんだがそうほいほい 30 点取れるようなオフェンスではないのだ。ディフェンスは生命線と言ってもいい。それがこの有様では勝てる試合も勝てない。ポンダーは 25/42-228yds-0TD-1INT と冴えない数字で6回もサックを受けた。むしろよく 27 点取ったと言えるだろう。まだ Week 3 だ。挽回の余地はある。限りなく険しい道だが、その先にしかプレイオフはない。なんとか立て直して欲しい。
STL(1-2) 7-31 DAL(2-1):うーん、ラムズ、まあこんなもんか。カウボーイズは RB マレーがひたすら走りに走って 26att-175yds-1TD。エイドリアン・ピーターソンかっつう数字である。ロモは 17/24-210yds-3TD-0INT と上々のスタッツ。再びひとつ勝ち越した。
TB(0-3) 3-23 NE(3-0):2週連続やらかしたバッカニアーズペイトリオッツに勝てる筈もなく。ブレイディも切れまくった甲斐あってか(いや、練習したんだろうけど)今週はルーキー WR たちもかなり頑張ってボールを取っていたみたい。ここら辺がペイトリオッツの強いとこよなー。バッカニアーズは 4th ダウンギャンブルに4回挑んですべて負け。
GB(1-2) 30-34 CIN(2-1):これ結構めちゃめちゃな試合だったみたいですな。ベンガルズが 14 点先制、パッカーズが追いつく、さらに 16 点突き放す、でベンガルズが 20 点取って逆転勝ち、という。双方ターンオーバーが4回ずつ、ファンブルリターンタッチダウンが1回ずつ、ということでまあ凡戦というか馬鹿試合という表現が適切なのだろうけど、でも見てたらさぞ面白かっただろうとも思う。ともあれベンガルズとしては勝ちは勝ちで、こういう試合をものにできたのは大きい。パッカーズとしてもまあ、来週は bye だしこんなぐだぐだな試合は忘れて、というところなのではないかな。
NYG(0-3) 0-38 CAR(1-2):アップセット……というか、ジャイアンツが如何にやばいかという試合、かな。イーライ・マニングが被サック7回、12/23-119yds-0TD-1INT とまったく仕事をさせてもらっていない。一方パンサーズとしては会心の試合で、ニュートンの3タッチダウンパス+ランでもひとつタッチダウン、RB ウィリアムズは 120 ヤード走った。ロン・リベラ HC の進退問題にとりあえずはふたをした格好だが、これで来週が bye というあたり、天才的な間の悪さである。流石パンサーズだ。

  • ジャイアンツは最後のドライブではマニングが引っこんでカーティス・ペインターが投げてたらしい。2シーズンぶりの出場、のはずだが 2/4 で最後はインターセプト。まあ大差だったししゃあなしか。

ATL(1-2) 23-27 MIA(3-0)ドルフィンズの強さは本物か? 4Q 残り1分切ってからタネヒルタッチダウンパスで逆転勝ち。ドルフィンズの開幕3連勝は 2002 年以来とのこと。ファルコンズはこの日はランが出ていたようだが随所で詰めが甘く、リードを広げられなかった。
BUF(1-2) 20-27 NYJ(2-1):ジェッツが一度は追いつかれるも逃げ切り勝ち。ジーノ・スミスが 16/29-331yds-2TD-2INT とよくも悪くも派手な数字を残した。先週はひどいもんだったがともあれこれでまた勝ち星が先行するわけで、悪い成績ではない。ビルズは C.J.スピラーが左膝の負傷で途中退場したとのことで、ちょっと気がかり。
JAX(0-3) 17-45 SEA(3-0):これもう何書いていいのかわからんけど、まあ予想通りシーホークスの勝ち。ウィルソンは 3Q の途中までで 14/21-202yds-4TD-1INT という数字を残してさっさと引っこんだらしい。その後は同志ジャクソン*1が出てきて 7/8-129yds-1TD-0INT とこれまた上等の数字。やんなっちゃうね。ジャガーズはヘニーが投げて、18/38-235yds-0TD-2INT とぱっとしない数字。
CHI(3-0) 40-23 PIT(0-3):ベアーズ3連勝。まあこれもスティーラーズがターンオーバー4回とかで自滅したに近い格好ではあるのだけど勝ちは勝ちだし内容的にも悪くはなさそう。カトラーも被サック2なのでオフェンスラインもまあ大丈夫そうだ。3-0 は昨年以上の好スタートで、今年こそはプレイオフを目指して欲しいところ。


これで 3-0 がチーフス、ブロンコス、セインツ、ペイトリオッツドルフィンズシーホークス、ベアーズの7チーム。チーフスとドルフィンズがサプライズの部類か。次週はマンデーナイトでドルフィンズとセインツの直接対決があって、これは実に楽しみ。
んで 0-3 がヴァイキングズ、ジャイアンツ、ジャガーズレッドスキンズバッカニアーズスティーラーズジャイアンツ、レッドスキンズスティーラーズは意外というべきだろう。1978 年以降、0-3 スタートのチームはのべ 161 チームあって、そのうちプレイオフに進めたのはたった5チームなのだそうだ。3-0 は安心できないが、0-3 は悲観するに足る。もちろんそれでも可能性は0ではない。

*1:同志ジャクソン:タヴァリス・ジャクソンのこと。「タヴァリス」の響きがロシヤ語のТоварищ(タヴァーリシ;日本語では通例として「同志」と訳される)にちょっと似ているのでこう呼んでいる。要するにシケギャグ。あと、言われなきゃ誰にもわからないと思う。