黄昏通信社跡地処分推進室

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NFL 2013 -- Week 12, part 1

New Orleans Saints (9-2) @ Atlanta Falcons (2-9)

NFC 南の同地区対決。現時点で星が真逆であるように対照的な現状の両チームだが、それでも同地区のライバル対決はひと味違うもの。まして地元となればそうやすやすとは負けられない。ファルコンズは先制タッチダウンをあげると、返しのドライブで同点とされるもフィールドゴールを2本追加し、グレアムにタッチダウンを決められたとはいえ 14-13 として折り返し。
後半はほとんど点が入らず、セインツが 3Q にフィールドゴールを1本決めた以外はパントの応酬。ファルコンズは 4Q 頭に敵陣 22 ヤードまで攻め込んだがファンブルで得点につなげられず、その次のドライブでは自陣9ヤードから敵陣 29 ヤードまで行っておきながらサックで5ヤード下げられた後まさかのフィールドゴールを選択してしかも結局外すという最悪の展開。まあフィールドゴールを決めてオンサイドキックという狙いだったのだろうけどそもそもそのフィールドゴールが入らない時点でプランが完全に瓦解していた。17-13 でセインツの勝ち。
ファルコンズは 2-9 となり5季ぶりの負け越し、プレイオフ進出もなくなった。すなわちマット・ライアンが入団以来初めてプレイオフを逃したということでもある。昨季はプレイオフで初めて勝利をあげ、今季は当然もっと上を目指すということになっていたわけだが、中々上手く行かないものだ。
セインツは2戦続けてオフェンスが息切れする恰好だが最終的には連勝している。こういうところが強いということなのだろう。

  • 前半にセインツの TE グレアムがタッチダウンを決めた後セレブレイションでゴールバーにぶら下がったのだが、重みでバーがかしいでしまい、当然ゴールポストも傾いてしまった。その後水平器を持ってきて直していたが、まあ確かに構造的に左右のロール方向の力には弱いだろうしそもそもぶら下がるもんじゃねえよなというところで。これまで同様の場面を目にしていなかったのが不思議なぐらい。

New York Jets (5-6) @ Baltimore Ravens (5-6)

ここまで勝負勝負勝負勝負勝負と来ていたジェッツがとうとう連敗、星を 5-6 としてワイルドカード2位から転がり落ちた。フィールドゴールで先制するもその後はまったくドライブがつながらず、3rd ダウンコンヴァージョンが実に 1/12 。結局スミ3というか、追加点を一度も挙げられなかった。一方のレイヴンズもタッチダウンは遠く、前半3本後半1本のフィールドゴールで 3-12 とじりじりリードを広げるにとどまっていたが、3Q にフラッコが ジャコビー・ジョーンズに66 ヤードのタッチダウンパスを通して、それがこの試合唯一のタッチダウンとなった。追い風だったがデリバリーも長過ぎず短すぎず、ジョーンズもよくキャッチしてこれは見事なプレイだった。この後得点はなく 3-19 でレイヴンズの勝ち。
ジェッツはジーノ・スミスのパフォーマンスが落ちてきていて、正直地力としてはこんなものというかここまで 5-5 でも勝ち過ぎの印象すらあり。逆にレイヴンズはようやく調子が上がってきて、ベンガルズもうかうかしていられないかも。

San Diego Chargers (5-6) @ Kansas City Chiefs (9-2)

8回のリードチェンジ(逆転)があった。
フィールドゴールで先制したのはチャージャーズだったが、前半のうちにチーフスはタッチダウンを2本とって 3-14 とリードする。しかし前半残り3分からのドライブをチャージャーズはつなげて最後はリヴァーズからウッドヘッドへふわっと上げたパス。ウッドヘッドもよく取って 10-14 で折り返し。後半も最初のドライブはチャージャーズからで、途中エディ・ロイヤルへのロングパスが決まったこともあってこれもタッチダウンまで持っていく。これで 17-14 とチャージャーズが二度目の逆転を果たした。
ここからが止まらない。どういうわけかこの辺りからどちらも相手の攻撃を止められなくなってしまって、まずはチーフスがチャールズのランで三度目の逆転(17-21)、スミスのインターセプトを挟んでチャージャーズはウッドヘッドが今度はランで取って四度目の逆転(24-21)。返しのドライブでスミスがファサーノへタッチダウンパスを決めて五度目の逆転(24-28)。チャージャーズのこの次のドライブはフィールドゴール止まりで逆転ならずピンチだったが、チーフスも返しのドライブはフィールドゴールでおつきあい。これで 27-31。チャージャーズは続くドライブで TE グリーンへのミドルパスがランアフターキャッチでタッチダウンまで伸びて六度目の逆転(34-31)。
この後パントが1回ずつあって、残り 3:51 からのチーフスのドライブ、いいフィールドポジションからだったこともあって深々と敵陣に入ってからツーミニッツウォーニング、この後のプレイで何故かアンディ・リードはタイムアウトをコール。1:28 からスミスがエンドゾーン真ん中のボウに真っすぐずどんとパスを通して七度目の逆転。34-38 となって、チャージャーズは残り 1:22、タイムアウトは2回、ただしフィールドゴールでは追いつけない。リヴァーズは中央へ短いパスを中心に投じて前進するが、敵陣 21 ヤード地点でサックを浴びて最後のタイムアウトを使わされてしまう。2nd&15、残り時間 0:22。
リヴァーズがエンドゾーンの左隅へボールを投げる。ターゲットは今季この試合の前までまだ2キャッチの WR アジロトゥトゥ。リヴァーズのボールはすうっとおじぎをするように沈み、CB スミスが差し出した手の下をかいくぐる。地面すれすれの難しいボールを、アジロトゥトゥががっちりキャッチする。タッチダウン、八度目の逆転で、スコアは 41-38。九度目を果たす力も時間も、チーフスには残っていなかった。
チーフスは9連勝から2連敗。途中負傷で LB タンバ・ハリとジャスティン・ヒューストンを失って、チーフス側の守備が崩れたのは間違いなくここに一因があったのだが、少し引きずりそうな負け方ではある。一方チャージャーズはここで負ければプレイオフがほとんど虹の向こうになってしまうところだったので、最後の劇的なタッチダウンも含めて実に素晴らしい勝ち方だった。リヴァーズのスタッツ自体も 27/39-392yds-3TD-0INT とよかったが、本当にすごいパスだった。あとアジロトゥトゥって誰?! ってなった。

  • GAORA の実況が近藤祐司氏、解説が村田斉潔氏で、前者がチャージャーズファン、後者がチーフスファンなので試合が終わった後微妙な空気になってて面白かった。そこで村田氏が指摘していたのがチーフスは最後のドライブでもっと時間を使うべきだったというもの。確かにその通りで、特にフィールドゴール確実な距離に入ってからはできるだけ時間を使ってタッチダウンできればタッチダウン、駄目でもフィールドゴールでオーバータイムを目指すというプランはあった筈だ。タイムアウトを取ったのも中途半端だったし、いろいろと疑問の残る選択だった。