黄昏通信社跡地処分推進室

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NFL 2013 -- Week 17, part 1

レギュラーシーズン、最終週。

New York Jets (8-8) @ Miami Dolphins (8-8)

レイオフ進出がかかるドルフィンズと、もはや目の無いジェッツの一戦。
ドルフィンズが 2Q にクオーターまたぎのロングドライブをタッチダウンにつなげて先制するが、ジェッツもすぐに反撃。ジーノ・スミスが短いパスをぽんぽんつなげてリチャードソンのタッチダウンまで辿り着くと、2Q 終了間際には 3rd&7 を自ら走ってタッチダウンを決め 14-7 と逆転する。この辺のスミスは実にいきいきしていて素晴らしかった。
ドルフィンズは後半に入ってからギャンブル失敗、敵陣でのインターセプトなどで得点を挙げられない。ジェッツも短いフィールドゴールを外したりおつきあいしてくれたのだが、4Q にとうとうジェッツがフィールドゴールで 17-7 とした返しのドライブの1プレイ目でタネヒルが投じたパスがレシーバーの手で弾かれて浮いたところをエド・リードに捕られてしまい絶体絶命。フィールドゴールで 20-7 とされた後、次のドライブでまたしてもインターセプトを喫して万事急須。
ドルフィンズは負けた時点でプレイオフが無くなる(タイブレーカーでジェッツより下になってしまう)ため、これにて他の試合の結果は関係なくシーズン終了となった。ジェッツは逆にプレイオフが無くなった途端に急に元気になって2連勝。好く言えば来季への光明が見えたが、スミスはやはり走らないと味が無くて、今季キャパニックやグリフィンが突き当たったのと同じ問題を抱えるものと思う。

Green Bay Packers (8-7-1) @ Chicago Bears (8-8)

ソルジャーフィールドにて、win or go home となった NFC 北地区優勝決定戦。
パッカーズはなんとかロジャーズがこの試合に間に合って8試合ぶりの先発出場。だったが、開始から2ドライブ連続で敵陣に入ってからインターセプトを喫してしまう。その間にベアーズはフォーテイのタッチダウンレシーブで 0-7 と先制する。3-7 となった 2Q、ロジャーズがパスを投じようとした瞬間ディフェンスの手が右腕にかかってボールは力なく飛んだ後に地面に転がる。WR ボイキンがボールを拾いに行きかけて諦めたが、そこへロジャーズが近づいていってボイキンに告げる。「ボールを持ってエンドゾーンに走れ」。ボイキンは改めてボールを拾って一目散にエンドゾーンへ。なんと審判の判断はファンブルで、笛は吹かれていなかった! 思わぬタッチダウンで 10-7 とパッカーズが逆転する。さらにフィールドゴールを1本追加して 13-7 で折り返し。
後半は点の取り合いとなる。ベアーズの後半最初のドライブはデヴィン・ヘスターの好リターンで敵陣からの攻撃となり、最後はフォーテイのタッチダウンランで逆転するが、パッカーズも返しのドライブでロジャーズが同じく今日が復帰戦の WR ランドール・コブへのタッチダウンパスを決めてまた逆転。そしてそのさらに返しのドライブでベアーズはカトラーがジェフリーへ 67 ヤードのロングパスを通し、最後はまたしてもフォーテイが持ち込んでタッチダウン。20-21 と三たびリードする。
4Q の頭、カトラーはマーシャルへ見事な山なりのタッチダウンパスを決めて 20-28 とここまでで最大のリードをベアーズにもたらす。しかしパッカーズも黙ってはおらず、返しのドライブでロジャーズがクオーレスへ超厳しいパスを通すとレイシーのタッチダウンランで 27-28 の1点差に迫る。
残り 6:24 から、パッカーズの命運が決するドライブが始まった。ロジャーズは短いパスをなんとか刻みながらも自陣での 4th&1 からのギャンブルを二度も強いられ、それでもどうにか両方コンバートに成功する。さらに 3rd&3 では自ら走って頭から突っ込んでファーストダウンを奪う気合いの入りっぷり。そしてどうにか敵陣に入ったところで時計はとっくに2分を切っており、残り 48 秒で 4th&8、このドライブで3度目となるギャンブルに。ここでベアーズは7人のオールアウトブリッツをコール、ジュリアス・ペッパーズが右サイドから回り込んでロジャーズに迫る。しかし RB クーンが右サイドから左へ動いてペッパーズをピックアップ、これでロジャーズはかろうじてペッパーズとすれ違うようにポケットから左側へ脱出する。数秒の、しかし充分過ぎる時間がロジャーズに与えられる。ロングパスを投じた先にはがら空きのコブが立っている。あとはボールを捕って走るだけ。タッチダウン。33-28。わずかな残り時間でよたび逆転する力はベアーズには残されていなかった。
パッカーズNFC 北地区の優勝とプレイオフ進出を決めた。ロジャーズ不在の間負けこそ込んだが、ベアーズとライオンズもご相伴してくれて優勝戦線に食らいつけた。ベアーズはあと一歩及ばず。ここ7年間でプレイオフには1回しか進めていないとのこと。

Philadelphia Eagles (10-6) @ Dallas Cowboys (8-8)

長年チームを率いてきたアンディ・リード HC と決別し、オレゴン大学からチップ・ケリーを迎えたイーグルズ。緒戦のレッドスキンズ戦で衝撃のデビューを飾るも、前半は苦戦。途中からニック・フォールズをスターターに固定して俄然安定し、地区優勝にあと一歩のところまで来た。
一方3年連続最終週に地区優勝をかけた試合を戦うこととなったカウボーイズ。しかしトニー・ロモは前週の試合で背中を傷め、手術を受けることになったため出場できず。カイル・オートンが 2011 シーズン最終週(当時の所属はカンザスシティ・チーフス)以来の先発を務めることとなった。
そのオートンはベテランらしく落ち着いた、むしろ堂々たるプレイぶりでカウボーイズオフェンスを引っぱる。正直なところここまでやれるとは思っていなかった。スターターとしての成績はここまで 35-34 とほぼ5割でバックアップ QB としては充分過ぎる数字だが、しかし2年ぶりの先発でしかも一週間しか準備期間が無かったことを考えるとかなり苦しむだろうと予想されたからだ。
イーグルズはフィールドゴールタッチダウンで 10-0 とリードしたが、カウボーイズも反撃、オートンからエスコバルタッチダウンパスを通す。エスコバルエンドゾーンパイロンへ向かって頭から身体を投げ出すようなジャンプでタッチダウンを決め、この試合への意気込みを見せる。しかし前半残り2分でオートンからウィッテンへのパスがインターセプト。取れないボールではなかったと思うが若干ターンボールになって両手の間からこぼれてしまい、それをケンドリックスに直接拾われてしまった。これで得た敵陣からの攻撃をフォールズはわずか2本のパスでタッチダウンにつなげて 17-7 と再び 10 点リードする。2本とも TE セレックを狙ったいいパスだった。
だがカウボーイズも粘る。前半終了間際にフィールドゴールを1本返すと、3Q に入ってからもフォールズのファンブルロストを絡めてフィールドゴールを2本返して 17-16 と1点差に迫る。イーグルズは敵陣1ヤードまで攻め込むがギャンブルに失敗して得点できない。それでも次のドライブでブライス・ブラウンのタッチダウンランまで辿り着き、24-16 と再びリードを広げ直す。
カウボーイズは残り6分から反撃。オートンがウィッテンへロングパスを通して敵陣に入ると、4th&9 からデズ・ブライアントへ通したショートパスがランアフターキャッチで起死回生の 32 ヤードタッチダウンパスになる。24-22 だからツーポイントコンバージョンを決めれば同点だが、ここはまたブライアントを狙ったもののイーグルズ CB ケアリー・ウィリアムズが低いボールに手を伸ばしてぎりぎりでカットした。
イーグルズは返しのドライブでは時計を回すことに注力し、カウボーイズタイムアウトを使い切りながらスリーアンドアウトに止める。パントの後がカウボーイズ最後のドライブ。オートンはウィッテンへのショートパスを狙うが、ここへ来てイーグルズが殆ど見せて来なかったウィッテンへのダブルカバー。オートンは慌ててターゲットをオースティンに切り替えてボールを投じるがそれがわずかにターンボールになってしまう。そこへボイキンがすっと入ってきて、インターセプト。ボイキンはすぐに膝をつき、カウボーイズにはもはや時計を止める術が残されていなかった。
レイオフ最後の1チームはイーグルズとなった。カウボーイズは3年連続で涙を飲み、今年ロモはその瞬間にフィールドに立っていることすらできなかった。

  • カウボーイズはロモの負傷でオートンが先発したがバックアップ QB が居ない状態になり、そこにキトナ先生が入っていた。キトナは 2011 シーズンを最後に引退して(ちなみにそのシーズンのロモがあばら折った試合で途中投げてて多分それが最後)高校で数学かなんか教えてるらしいんだけど、今回の事態を受けて自らギャレット HC に連絡を取り契約にこぎ着けたそうだ。とはいえ 41 歳、その高校のコーチもやってるらしいが身体が緩い印象は否めず、ほんとに投げることになったらどうするんだこれと思わずには居られなかったが幸いにも出番はなし。本人もそこは重々承知だったようで「私に出番が来るようだとチームにとってもファンにとってもあまり喜ばしい事態ではないだろう」とか言ってたらしい。それでも申し出る辺りが面白い。