黄昏通信社跡地処分推進室

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空ろなネーミング

近所のスーパーで「みちのく清流若鶏」という鶏肉を売っている。なんとなくよさげな響きだ。いいもの喰ってそうである。肉が引き締まってそうな感じもする。でもちょっと考えてみると、別にそんなことはなにも言ってない。みちのくは単なる地域だし、清流はいい水飲んでそうという以上のことはわからない。若鶏だってそこら辺で肉になってる鶏は若鶏に決まってるのである。で、実際安い。この近所では国産鶏最安値だろうというぐらいの値段がついていることもある。少なくとも値段面から判断する限りは、特別な付加価値を持つ鶏肉とは言えない。それにしてもすごいネーミングだ。


と思っていたら、近所の 100 円ローソンで売っている卵に「指定農場のたまご」と銘打たれているのを発見した。これはもっとすごい。卵は農場で生産されているに決まっているのだし、指定農場という言葉は実質的には何の意味もない。ローソンが仕入れ先を「指定」しておけばそれは指定農場と言えるだろうし、なんだったら日本中の農場を「指定」してしまったっていいのだから。つまりこの商品名は「たまご」だ。それは見ればわかる。


この手の「なにかよさそうなことを言っている風だけど意味のあることは何も言ってない」ネーミングを見るとにやりとしてしまう。よくできているなと感心するし、その空ろさにはある種の美しさすら宿っていると思う。そしてそれをどこかの誰かが考え出して世に送り出しているのだと考えると、なにか畏怖に近い念すら覚えるのだ。