黄昏通信社跡地処分推進室

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なめる・サチる・シャクる

そして第3回。


第1回はこちら→はつる・ばみる・オルグる
第2回はこちら→たたく・さしこむ・アジる

なめる
まず意味を辞書的に説明してしまうと「本来角や溝がある部分を摩耗させてその角や溝をなくしてしまうこと」。もっとも典型的な例は、ねじの大きさに対して小さすぎるねじ回しを用いて、ねじの頭の穴を潰してしまうこと。モンキーレンチの寸法を正しく合わせないでナットを回して角を摩耗させちゃうとか、不適切な道具の取り扱いの帰結であることが多い。本来他動詞として用いられるはずだが、筆者の元バイト先では自動詞としても使われていた。「このねじ穴なめちゃってる」=このねじ穴はねじ山が摩耗してしまっている、というような言い方をしたのだ。「このねじ穴(誰かが過去に)なめちゃってる」という解釈もできないことはないが、使われ方としては自動詞と考える方が妥当だったように思う。


サチる
ある系に入力を増やしていった時に、入力がある水準を超えないうちは出力が線形に増加するが、入力がその水準を超えてからは出力が増加しなくなること。語源は英語の saturation で、つまり飽和するという意味。典型的な例はまさに水溶液で、水に溶質を加えると水溶液ができ、溶質を追加していくと水溶液の濃度は一次関数的に増加していくが、ある点から先は濃度が上がらなくなる。こうなること、あるいはこの点に到達することを「サチる」という。ちょっと調べた感じだとオーディオ関係でも使うらしく、「増幅器に増幅可能な上限以上の音量の音を入れる」ことで歪んだ音を出させることをそういうようだ。基本的な意味さえ把握してしまえば使いどころはありそうな言葉。



皆さんの周りにも「部外者に説明する時言い換えが難しい動詞」、結構あると思うので、なにか面白いのがあったらコメント欄ででも教えてください。
※この条件を満たす動詞ってだけで大抵面白いです。