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『族長の秋』雑感

少し前にガブリエル・ガルシア-マルケスの訃報が流れたとき「一作も読んでいない」とツイッターで書いたのだけど勘違いで、『族長の秋』だけは読んでいた。何故かガルシア-マルケスじゃないと思いこんでいた。あれはすごく変な話だけど、なにか人の心を掴むものがある。圧倒的なカリスマと、破綻した人格と、権力者の孤独、バナナ共和国オリエンタリズム(と言ったら多分作者に失礼なのだがおれなんぞが読むとそういう要素は感じざるを得ない)。そういうものが渾然一体となってわかちがたく、そういえば文体も一文がいつまでもいつまでも続いて切り貼りを許さない形態になっていて、なにか塊のようなものがごろんと放り出されている感じがした。それを端からなぞるように読んでいくのだけど、自分がその塊の中央に近いところまでたどり着けたかというと甚だ自信が持てない。にもかかわらず上に書いたような諸要素はどうも心に引っかかり、読み終えた後にはなにかもの寂しいような感覚が残った。


でそれっきりガルシア-マルケス読んでないんだけど、多分近所の図書館にこれしかなかったからみたいな理由だったはずなので、とりあえず『百年の孤独』ぐらいは手を出してみようかな。