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[ふたりで泡を]心に残るゲームたち (8) 再掲:『バブルボブル』



バブルボブル』 タイトー/アーケード,1986


このゲームは、おれが初めてゲームセンターで出会ったゲームだと言っても過言ではない。
当時はいくつかのゲームを並行してやり込んでいたから、これだけを最初というのは正確に言えば違うが、そのいくつかのゲームの中でも、初めてやったゲームという印象がどういうわけかおれの中にはある。


主人公は「バブルン(1P 側)」と「ボブルン(2P 側)」という名前の小さな竜で、2方向レバーで左右に歩き、右ボタンでジャンプ、左ボタンで泡を吐くことができる。
今では珍しくなった横視点・固定画面のアクションゲームで、床はジャンプすれば下から上には通り抜けられる。面によっては面の底部に穴が空いていて、そこから落ちると面の天井の穴から落ちてくる。目的はその面の敵(最大7匹)を全滅させること。全滅させると次の面に進み、100 面クリアすればゲームエンド。


ユニークなのは、敵の倒し方だった。上で「泡を吐く」と書いたが、主人公の吐いた泡はふくらみながら飛んで行き、膨らみきるまでに敵に触れるとその敵を泡に「くるむ」ことができる。敵のくるまった泡を、主人公の角や背びれでつつくなり上から踏むなり壁に押し付けるなりして割ると、敵を倒すことができる。
泡はひとつ割れると隣接している泡も「連鎖」して割れる。これにより、何匹かの敵を続けてくるみ、まとめて割ることができる。まとめ割りは得点が高く、EXTEND バブル(6文字揃えると残機が増える)も出やすくなるため可能な限り狙いたかったが、特に面が進むとリスクも非常に高くなった。


敵の種類は8種類。走るだけの敵、跳ね回る敵、横方向に強い敵、縦方向に強い敵、空を飛ぶ敵……、と過不足なく用意されており、それが全 100 面すべて違う地形に巧みに配置されている。面数の多い強みで、難しい面と簡単な面がうまく散りばめられており、適度な緊張を保てるようにデザインされていた。


アイテムとフードの種類が恐ろしく多かったのも忘れられない。アイテムは単純なパワーアップから、取った瞬間にその面をクリアできるもの、果ては向こう数面をスキップしてくれるものまでさまざまに主人公を助けてくれた。フードは取っても得点が入るだけだがどれもおいしそうだったし、入る得点の幅が大きかったので取る前に得点を想像するのが楽しかった。


泡には敵を倒す以外の使い方もある。主人公は泡に乗るとジャンプすることができ、それを利用すると楽になる面がある。後半に進むと巧みに用いなければクリアすることができない面すらあった。
さらに、全ての面には「気流」があって、泡は必ずその気流に沿って動いていく。大抵の面では流れは遅いが、それでも放っておくと泡はどんどん遠くへ行ってしまう。まして気流の速い面となると、何も考えずに敵を泡にくるんでいては一生倒すことはできない。床の形は同じでも気流によって全く違う面になる。目に見えない要素がゲームを左右するのは面白かった。


2人プレイが、断然簡単だった。敵の数は変わらないから倒す数は半分ですみ、一匹の主人公を狙ってくる数も半分だったからだ。面によっては、ひとりが吐いた泡にもうひとりが乗ることで簡単に進むことができたりもした。おれたちはいつも二人で遊んでいた。なんとなくある程度パートナーが決まっていて、バブルンとボブルンのどちらを使うかもわりと決まっていた。違うパートナーと組んだり、いつもと反対側の席に座ると、なんだか変な感じがしたものだった。


可愛いキャラクター、きらきらした独特の音色の BGM、ユニークな内容。とても水準の高いゲームで、今見ても 18 年も前のゲームとは思えない。長い間あちこちのゲームセンターに置かれて、インカムを稼ぎ続けていたのも肯ける。


おれは今でもごくたまに、このゲームにコインを入れる。昔はおれよりゲームの上手いパートナーの座っていた、左側の席に座ってゲームを始める。もうクリアできるほどの腕はない。それでもこのゲームは懐かしく面白く、容赦なく敵は襲ってきて、まとめ割りの爽快感は当時と変わるところがない。薄暗かったゲームセンターで、壁に向かって置かれたテーブル台に必死にかじりついていた頃と、変わらぬ楽しさがそこには詰まっている。


初公開:2004-07-28 修正:2009-08-02(全角英数字を半角に修正)







書いた少し後ぐらいからずっと思っているのだが、この回は圧倒的に熱量が足りない。文章が下手なのは仕方ないとしても熱量が足りないのはこの手のエントリとしては致命的だ。このゲームは本当に好きでめちゃめちゃやった筈なのにこんな文章しか書けていないことに愕然とする。どういうモティヴェイションで書いたのだろうか。
とりあえず再掲するのが目的なのでここではそのまま載せるが(前回同様読点だけは少し削った)、機会があれば書き直したい。