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ツール・ド・フランス 2015

ツールが終わった。終わってみるとあっという間であった。面白かったのひとことに尽きる。あと、ものすごく時間とられる。
折角なので思いつくままに感想を書いておこう。

  • クリストファー・フルーム、というかスカイの強さはすごかった。本当に憎らしいほどだった。なんか最後の2日以外はゴールでも必ずスプリントやってた(しかもだいたい前に出てた)しなんなんだあの人。とはいえ最後の2日は離されたのだからやっぱり人間なのだなとも思うわけだが、限りなく超人に近い人間という感じがする。アシストたちも素晴らしい働きで、振り返ってみるとそりゃ勝つわという印象はあるのだが、たぶんそう毎回上手くいくものでもないというのも現実なのだろう(フルームが昨年完走すらできなかったように)。マークされつづけたことは不利でもあったが、一方で大きなリードと層の厚いアシストが逆に2位以下のチームに「先に動いたら割を食う」という状況を作り出したことも確かで、そこも含めて強さということなのだろう。
  • で、それだけに、ナイロ・キンタナ、最後の2ステージはすごかったねー、という。第20ステージでフルームをちぎり捨てたところはほんとに力が入ったし、そのあとバルベルデ、アナコナのアシストを次々に得ながら差を広げたのはすごいテンション上がった。あれで届かなかったのだからもう仕方ないと思うけど、こうなってみると第2ステージの分断で1分半を失ったのがほんとうに悔やまれる。キンタナはレース後に「結果的には僕たちは第2ステージでツールを失っていたんだ」と言っていたそうだけど、確かにそういう側面はあったかも知れない。残酷なものだ。とはいえツール出場2回で2位2回はすごいとしか言いようがないし、もちろんのマイヨ・ブラン獲得、チームメイトのアレハンドロ・バルベルデも3位に入り、モヴィスターはチーム総合でも優勝、と大成功というべき成績だった。
  • ティージェイ・ヴァンガードレンは、うーん、正直道中もずっと「タイムを失わないレース」はしていたけど、「リードを奪うレース」はできていなかったしできそうな気配もなく、個人的には総合3位とはいえ見ていてそれ以上の上がり目がありそうには思えなかったが、しかしまあ風邪でリタイアというのは残酷である。最後完全に足が止まって、アシストを先に行かせ、チームカーから監督が降りてきたところでリタイアしたが、悔し涙にくれる姿はさすがにぐっと来るものがあった。BMC レーシングはその後ほとんど存在感を示すことなくレースを終えた。
  • サガンこそがスーパー敢闘賞をもらうべきだったと思うのだけどどうだろう。マイヨ・ヴェールとったんだからこっちはいいでしょみたいなことではないと思うんだよね。なんというか、平坦・山岳問わずほんとにどこにでもいた印象で、自らもポイントを稼いだり逃げに乗ったりする一方でコンタドールのアシストをしたりバイク貸したりしてて、ほぼ毎日「今日も頑張ってるな」って感じだった。なかでもひときわ印象に残ったのは第 16 ステージの下りで、最終的に逃げきったプラサを追って絶望的な1分差を詰めに行った命知らずの走りには慄然とした。心に残る走りだった。
  • グライペルは今年のスプリンターたちの中ではずば抜けた成績を残した。力はあるし体調もよかったのだろうが、それにしても4勝とは恐れ入った。シャンゼリゼでまで勝ってしまったのは正直できすぎだろう。あと J SPORTS のレポートでゴリラとか普通に書かれてて申し訳ないが笑った。
  • ペローの落車めちゃめちゃ痛そうだった。よく完走したもんだ。
  • バルデ、いくらなんでも細すぎる感じがする。特に肩幅がないのでほんとに棒みたいな体型してる。スーパー敢闘賞は、後半の活躍だけ見ればまあ、という感じ。でも 20 ステージで結果的にキンタナに逆転させなかったのはよかったね。
  • あと「今年名前を覚えたチーム」として MTN クベカを挙げておこう。まあ初出場なんだから今年覚えたに決まってるんだけど、前半ではテクネハイマノットがピレネー前の数日間水玉ジャージを着たし、後半では第 14 ステージで先頭を巡って牽制しあうバルデとピノにカミングズがまさかの出し抜けを喰わせてステージ優勝も果たした。何をしても「アフリカのチーム初」ということになって注目された面もあるけれど、それを抜きにしても大活躍だったと言っていい。来年もまた見たいと思う。

きりがないのでこの辺で。また来年!