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緊急停止を復帰させるはなし

「高飛車」落下する直前、高さ40mで7分停止 -- YOMIURI ONLINE


こういうニュース見るとメンテ側の気持ちを想像して背筋が凍る。毎日点検しているだろう。動作も確認するはずだ。でもまじまじと見るわけではない。屋外で使っていれば壊れるときは壊れてしまう。そこはもう仕方がない気がする。そうは思っていても、ライドが立往生したとき、「やっちまった」と思ったにちがいない。そう思いながらも、必要な工具を持ってライドが止まっている塔に走っただろう。


梯子を登りながらブレーキ開放の手順を頭の中で確認する。お客様を塔の上で下ろすのは最後の手段だ。不具合がブレーキだけであるかぎりは、走らせた方がよほど安全なのだ。とはいえライドが無事である保証はない。タイヤとブレーキ周りを目視で点検して判断しなければならない。そしてお客様に説明する。これからライドがまた動くこと。そのあとは通常と同じようにプラットフォームまで走ること。


そしてブレーキを開けなければならない。
もちろん、そのブレーキは毎日毎日毎回毎回ライドを一旦止めた後、開放されてライドを奈落へ送り出しているわけだけど、それを自分の手で行うのはまったく違うことだ。きっと祈るような思いでスイッチを動かしたに違いない。ライドが落下し始めたときには、取り返しのつかないことをしたような感覚を味わったのではないか。


それに比べれば、その後の1時間強の修理は、ほとんど気楽なものだったかも知れない。壊れちまったものは仕方がないとあらためて思いながら、冷静に原因を切り分けて、必要な部品を取りに塔を一旦下りる。梯子を下って上ってくる足取りも軽かっただろう。故障していた部品を交換し、ライドを空で走らせ、ブレーキが正常に動作するのを見届けてからゆっくりと塔を下りる。けが人が出なくてよかった、無事に直せてよかった、と思いながら。





……とかなんとか妄想するが、実際やってる人はもう少しドライだろうなー、とは思う。