黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

NFL 2016 -- Conference Championships

おれだいたい毎年ワイルドカードあたりで力尽きててカンファレンスチャンピオンシップの観戦記ほとんど書いたことないんだよね……。調べてみたら最初の年しか書いてなかった。五年ぶりです。

NFC

Green Bay Packers (10-6; NFC #4/North) @ Atlanta Falcons (11-5; NFC #2/South)

ファルコンズはオープニングドライブから素晴らしい攻撃を見せる。オフェンスラインがライアンをよく守り、ライアンも迷いなく鋭いパスを決めて前進する。途中 3rd&11 など苦しい場面もあったが、よくライアンがレシーバーを見つけて攻撃を続けた。最後はライアンが2ヤードを自分で走ると見せかけてサヌーへのショベルパスでタッチダウン。0-7 と先制した。
パッカーズは返しのドライブ、こちらは肋骨を二本骨折しているジョーディ・ネルソンに敢えて二回のパスを通しながら敵陣に入るが、23 ヤード地点での 3rd&4 が更新できずフィールドゴールを狙う。ところがクロスビーが右に外してしまい、パッカーズは手ぶらで帰ることになった。
次のドライブもファルコンズは絶好調。ライアンのパスに加えて RB コールマンとフリーマンのランもよく出て、またしても敵陣深くへ。しかしここはなんとかパッカーズディフェンスがよく守って FG にとどめた。0-10 となる。
反撃したいパッカーズもオフェンスの調子は悪くない。返しのドライブでもロジャーズのパスを軸に攻め、こちらも敵陣深くに攻め入るが、ここで落とし穴。RB リプカウスキーが中央のランで素晴らしいペネトレイトを見せながら、10 ヤードほど行ったところでボールを掻き出されてファンブルしてしまう。ボールは前方にまっすぐ転がり、ファルコンズにリカバーされてタッチバックというほとんど最悪の結果になってしまった。
ファルコンズは3回目のドライブも得点につなげる。ライアンのパスが冴えわたり、レシーバーのドロップもものともせずドライブを継続。最後は 10 ヤードちょっとを自分で走ってエンドゾーンにボールを持ち込み、そのボールを力一杯地面にスパイクしてみせた。これで 0-17。
このあとパントを一本づつ蹴って前半残り3分強、パッカーズは自陣 10 ヤードからの攻撃になる。なんとしても得点が欲しいところだったが、2nd ダウンでラッシュをかわして後ろに下がったロジャーズの爪先にディフェンスの手がかかり、ロジャーズはバランスを崩して転んでしまう。これで 3rd&21 となり、ロジャーズは一番奥に走ったネルソンへ超ロングパスを投じるが、ネルソンはディフェンスを抜けずインターセプト。とはいえ敵陣 30 ヤード地点で捕られてリターンはさせなかったので、結果的にはパントと変わらないプレイになった。
だがファルコンズがこれを逃さない。ライアンがテンポよくパスを通し、タイムアウトを使いながらパッカーズ陣内にぐいぐい侵入していく。FG 圏内どころかレッドゾーンにまで入って残り4秒で 3rd&1。パッカーズはなんとか守りたかったが、ライアンから右サイドライン際の WR フリオ・ジョーンズへきっちりパスが通ってタッチダウン。なんと 0-24 で折り返すこととなった。


後半はパッカーズの攻撃から。しかしクックが2本パスをドロップしてスリーアンドアウト。そして返しのドライブ、ライアンから絶妙な位置でパスを受けたジョーンズが右サイドライン際を駆け上がると、ディフェンスふたりのタックルをほとんど軽々とかわしてタッチダウンにしてしまう。0-31。
この次のドライブで、パッカーズはようやく得点をあげる。ロジャーズがいくつかいいパスを通して、最後は左サイドからスラントで入ってきたアダムズにパスを決めた。最初のドライブで入っていた筈の初得点は、ここまで遅くなってしまった。
そしてパッカーズオンサイドキックを蹴る。これは賛否両論あろうし、おれは観ていた時は明らかに早すぎると思ったのだけど、パッカーズにしてみれば普通にキックオフしてもファルコンズのオフェンスを止められる気がしなかったのだろう。逆転がありうるとすればこのオンサイドキックが決まって、タッチダウンをあげて、もう一本オンサイドキックを決めて、タッチダウンをあげて……ぐらいのミラクルがなければ無理だという感覚だったのではないか(実際 31 点ビハインドというのはそういう点差だ)。結果的にはオンサイドキックは失敗し、さらにリターンされてパッカーズ陣 33 ヤード地点からの攻撃を与えてしまうことになった。
オンサイドキック失敗の時点でほぼ試合は終わっていたが、その 33 ヤードをファルコンズはあっさり進みきってタッチダウンで止めを刺した。このあとおたがいにタッチダウンをもう一本ずつ決めたが、大勢に影響はなかった。


ファルコンズはオフェンスが絶好調で、パッカーズディフェンスをずたずたにした。ドライブの大半はタッチダウンまで行った印象で、パントは一回だったか。パッカーズから 44 点取るというのはちょっと規格外で、素晴らしいとしか言いようがない。そしてその好調に引っ張られるようにディフェンスもいいパフォーマンスを見せた。このあたりは若いチームならではの勢いがあるようにも思う。
パッカーズはここ二試合いいゲームをしたが、ちょっと力つきてしまったような感じがあった。ネルソン、アリソン、アダムズとレシーバー陣に怪我人が続出し、モントゴメリーも試合中に脚を気にする様子があった。最初のドライブで1点も取れなかったのも大きく、オフェンスが波に乗れないことがこの結果になってしまった。


最終スコア:GB 21-44 ATL

AFC

Pittsburgh Steelers (10-6; AFC #3/North) @ New England Patriots (14-2; AFC #1/East)

ペイトリオッツが先攻。最初のドライブで、エデルマンのランアフターキャッチがロングゲインになって一気に敵陣へ。左サイドライン際で左→右とえげつないカットを切った素晴らしいランだった。しかし 3rd ダウンからのパスを WR ミッチェルがドロップし、FG に終わる。
両軍スリーアンドアウトが一回ずつ続いた後、スティーラーズは二回目のドライブもパント。
続くドライブ、ペイトリオッツはノーハドルの速いテンポでたたみかける。ルイスのランを続けた後、WR クリス・ホーガンにスイングパス、中央へのパスと連続して決め、最後は 3rd&6 からブレイディがポケットを出て時間を稼ぎ、右奥でワイドオープンになったホーガンにタッチダウンパスを通した。これで 0-10 とリードを広げる。
スティーラーズは次のドライブで反撃。キックオフのキックとカバーがよく、厳しい位置からの攻撃だったが、3rd&10 をロスリスバーガーがぎりぎりのパスを通して更新すると、そこからドライブを継続する。このドライブは早い時点でベルがサイドラインに下がってしまったのだが、代わりに出たベテラン RB ディアンジェロ・ウィリアムズがよく走ってドライブの軸となった。要所でロスリスバーガーもパスを決め、最後はもう一度ウィリアムズがボールを持ってタッチダウンポイントアフタータッチダウンが左にそれて、6-10 となった。
しかしペイトリオッツもすぐに突き放す。こちらもフィールドポジションはよくなかったが、ブレイディが短いパスをよく決めて前進。敵陣に入ったところで、ブレイディから RB ディオン・ルイスへハンドオフして中央のランプレイ……と見せかけて、ルイスがブレイディにボールをピッチするフリーフリッカー。これにスティーラーズディフェンスは見事にひっかかってしまい、特に S ミッチェルが前に出てしまったのは致命的で、完全に裏へ抜けたホーガンにブレイディは難なくパスを決めた。6-17 と、今度は 11 点差になる。
喰らいつきたいスティーラーズロスリスバーガーが苦しいドライブでよくパスを通す。ここもウィリアムズがよく活躍し、ランプレイ以外でも浅いパスコースに出てレシーブし、ランアフターキャッチで渋く 1st ダウンをとってみせる。最後は 19 ヤード地点の 3rd&8 からロスリスバーガーが右サイドライン際の TE ジェームズへ絶妙なパスを決めた。と思いきや、レヴューで判定が覆り残り1フィートの 1st&Goal。ここからのペイトリオッツの守りが素晴らしく、完全にランプレイに的を絞って 1st ダウンと 2nd ダウンでいずれもロスさせる。仕方なくパスをコールした 3rd ダウン、ロスリスバーガーはパスを決められず、あと1フィートまで行きながら結局 FG に終わってしまった。これはかなり痛かった。
残り 1:40、ペイトリオッツタイムアウト無しで前半最後のドライブに挑むが、これはミッドフィールド付近で時間切れ。9-17 で折り返した。


後半はスティーラーズの攻撃からだったがあっさりスリーアンドアウト。返しのペイトリオッツ、14 ヤード地点からの攻撃で苦しかったが、よくドライブを続けて、ミッドフィールドの手前で 3rd&1 となる。ここでブレイディが得意のスニーク。ここで倒れ込んだときにボールをこぼしてしまうが、判定はダウン。こぼれたボールはスティーラーズがリカバーしており、スティーラーズはチャレンジするが判定は覆らず。その次のプレイでホーガンにパスを通して敵陣に入る。ここからスティーラーズディフェンスが踏ん張ってなんとか止めたが、FG で 9-20 となった。
スティーラーズは返しのドライブ、ロスリスバーガーがうまくレシーバーに投げ分けて敵陣に入るが、2nd&7 からエンドゾーンを狙って決まらず。そのままパントになってしまう。
ペイトリオッツはその次のドライブ、ブレイディが続けてパスを決めて苦しいポジションを脱すると、ホーガンへのパスがランアフターキャッチで伸びまくって一気にレッドゾーンまで進む。このあとブラウントのランはタックルを受けてからラグビーのモールのように敵味方が周りに集まって押し合う格好になって、ゴール前1ヤードまで前進。最後もその1ヤードをブラウントが取って、タッチダウン。これで 9-27 と3ポゼッション差になる。
そしてスティーラーズの次のプレイ、右からシャローアクロスで入ってくる WR イーライ・ロジャーズへパスが通ったまではよかったが、ボールをストリップされてファンブルしてしまう。しかも転がったボールはペイトリオッツにリカバーされる。これで得た攻撃をペイトリオッツは4プレイでタッチダウンに持っていく。9-33 となって、スティーラーズはかなり苦しくなった。
反撃するスティーラーズペイトリオッツのディフェンスがさすがに少しソフトになったのを見て、すかさず長いパスを二本通す。4Q に入り、6ヤード地点で 1st&Goal。今度こそタッチダウンだろうと思われたが、今日はエンドゾーンが遠かった。ラン、ラン、パス、パス、というコールもいかにもありがちで、結局4回のダウンで一点も奪えずに帰ることになった。ここで実質的には試合は終わった。
あとはペイトリオッツが FG を一本追加し、ロスリスバーガーインターセプトを喫して、最後にタッチダウンを一本だけ返してツーポイントを決めた。もうなにをどうしても試合はひっくり返らなかった。スティーラーズは最後はタイムアウトを余して試合を終えることになった。


ペイトリオッツが最高の試合をした。オフェンスはやりたいことをして、ここぞというときにスコアをあげ、相手のミスをことごとく得点につなげた。正直スティーラーズ相手にここまで突き放すとなるとちょっと手がつけられない。ブレイディ自身5本目のスーパーボウルリングにも手が届きそうだ。
スティーラーズは細かいところでわずかに足りず、スタッツ以上の大差をつけられることになった。特に前半の Goal&inches を取れなかったのは痛かった。あとはベルがサイドラインに下がったドライブ以降結局出られず、攻撃の軸を失ってしまった。とはいえベルが健在でもペイトリオッツに勝つのは難しかったかなという気もした。スーパーボウルに進むためにはもう少し突き抜けた強みが必要なのだろう。


最終スコア:PIT 17-36 NE