- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/06/26
- メディア: 文庫
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フレーバーは著者独特のもので、薄暗く、じめっとしていて、しかし妙な居心地のよさがある。キャラクターも悪くはない。しかしシチュエーションやストーリーには見るべきものがない作品が多い。ひとことで言えば、著者が持ち前の語り口といつものフレーバーだけを頼りに強引に書きあげた、という印象が強い。そういう作品が七本収録されている。
なかでちょっとよかったのは「蝸牛の角」で、場面転換の強引さが無意味に映像的でよかった。多分元ねたはあるのだけど。あと「大日本凡人會」は設定が面白く、なにか長編の萌芽になりそうな要素があるなという印象を受けた。全体としてはファンなら読んでみてもいいだろうけど、というぐらいの水準だった。