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高専ロボコン 2017:全国大会「大江戸ロボット忍法帖」

というわけで、全国大会。
10 年ぶりに接触ありの競技で、二体のマシンを操って相手本陣もしくは相手マシンの風船をすべて割れば勝ち、という根本的な部分ではシンプルなルール。割るためには「刀」もしくは「秘密道具」を用いなければならない。
ルール:
http://www.official-robocon.com/kosen/wordpress/wp-content/uploads/2017_kosen_rulebook.pdf
FAQ:
http://www.official-robocon.com/kosen/wordpress/wp-content/uploads/2017_kosen_faq.pdf


地区大会をすべて見た印象では、「風船を割る」こと自体が結構難しく、そこをいかにクリアするかがアイデアの肝になりそうだった。
中で割る方法として面白かったチームがふたつ。香川高専高松キャンパスの「Sundogs」はアームの先につけたブラシレスモーターを使って風船を吸引して割るアイデア。腕を振り回すより動きとしては遅いが、ひとつひとつ確実に割れることは今年のルールでは印象以上に強く、四国大会を制した。
もうひとつ、神戸市立高専の「さるかにんぽう」。ここのはちロボットは無数のとげが突き出したトレリスを縦方向に展開し、とげの面を本陣に押しつけてまとめて風船を割ろうというもので、おそらく割ることにかけてはソリューションに近いアイデアだった。ただし0距離まで近づく必要があり、近畿大会では準決勝で敗れている。


本陣のパイプの形に合わせてアームを伸ばす「X攻撃(四点バースト)」は各地区であまたの高専が挑んだが、これは難しかった。クリップで留めてある風船は思うようには割れず、よほどいいアタッチメントと、あと一発ではまず成功しないのでエアではなくモータを用いなければならず、残念ながら完成形に到達した高専はなかったようだった。
飛び道具も鬼門で、ルール内の材質・構造ではどうしても確実性が低く、それだけで勝つことはほぼ不可能だ。開幕と同時に何十発かばら撒いて本陣の風船を一個でも二個でも割れればよし、というのが最良の使い方になりそう、という印象だった。
風船を囲って守ったり、相手のマシンを「拘束」したりすることは不可、というルールがあるため、相手を妨害することも極めて難しかった。比較的マシンを大きくできるので、アームを伸ばしても押し込まれたり乗り越えられたりしてしまう。


というわけで、奇策はあまり考えずガチンコ勝負するのが一番強そう、というのが地区大会を見終えての展望ではあった。勝負を分けるのは足回り・安定性というフィジカルの部分と、不確実な中でどれだけ確率の高い/効率のいい割り方をできるか、という二点に集約されるように思われた。


実際の全国大会も、概ねその線からは外れていなかったと思う。ベスト4まで勝ち上がった高専はいずれも足回りがしっかりしていて押し合いにも強く、本陣前の混戦で自分の位置取りを主張して風船を割っていた。
(とりあえず中断)