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NFL 2017 -- Wildcard Playoff

さあ、win or go home、プレイオフだ。

Tennessee Titans (9-7; AFC #5/Wildcard) @ Kansas City Chiefs (9-7; AFC #4/West)

チーフスは開幕週にペイトリオッツに完勝し、その後も 5-0 とリーグいちのロケットスタートを切ったが、そこから猛然と失速して 6-6 まで落ち、その後レイダーズとチャージャーズに連勝して地区優勝を決めた。波乱のシーズンとは裏腹に個々の試合についてはよくも悪くも安定感のあるチームカラーで、大勝ちもしないかわりに大敗もしない、みたいなところがある。
タイタンズはマリオタの負傷などもあって 2-3、そこから立ち直ってわりときわどい勝ちを積み重ねて 8-5 まで行き、そこから二連敗のあと最後にジャグァーズを負かしてプレイオフの切符を手に入れた。こちらは大勝はしないところまでは同じだが大敗はするというわりと淡泊な特性があり、得失点のスタッツはめっぽう悪い。ビッグプレイが少ないところも含めて、両チームちょっと似た雰囲気を持っている。
タイタンズは 10 年ぶりの出場ということであまり参考にはならないがプレイオフでは二連敗中。チーフスはとにかくプレイオフに弱く、ここ 11 試合で 10 敗している。ヘッド・トゥ・ヘッドでもここ二回はタイタンズが連勝中というのは少し気になるデータではあったか。
タイタンズコイントスに勝ってキックオフを選択。チーフスは二本目のドライブで早くもタッチダウンをあげる。タイリーク・ヒルとトラヴィス・ケルシーのロングゲインでゴール前に進み、最後はカリーム・ハントのタッチダウンラン、と今季のチーフスオフェンスを象徴するような攻撃だった。さらに次の攻撃でもタッチダウンを追加する。今度はヒルとハントでゲインしてとどめがケルシー、という組み合わせだったが、1Q で 0-14 までリードを広げた。
2Q に入ってタイタンズはようやく攻撃らしい攻撃を開始。テンポよく敵陣 21 ヤードまで進むが、ここでインターセプトを食らってしまう。右サイド、CB ピーターズがレシーバーと同時に下がっていったのを見てマリオタはその手前にパスを投じたのだが、カバーはマンツーマンではなかったためピーターズが戻ってきて取られてしまった。少し不用意なパスだったか。
その後残り2分になってタイタンズはようよう FG を決めて初得点をあげたが、少し時間が残りすぎていた。チーフスはツーミニッツオフェンスでじわじわと前進。タイタンズはこれを止められず攻め入られてしまう。最後はチーフス WR ロビンソンがサイドライン側なのにインバウンズで止まるというボーンヘッドがあったが、時間がほとんどなくなったその次のプレイでアレックス・スミスが慌てて左サイドのロビンソンにもう一度パスを出すと、それがつるっと通ってタッチダウンになってしまった。待望の追加点をあげ、3-21 で折り返し。


しかし後半はタイタンズのものになる。最初のドライブ、ちまちまと刻んで敵陣に入り、とうとう1ヤードまで迫る。ところが反則で下げられたりして 3rd&6。マリオタは投げるところが見つけられず、左サイドに出てレシーバーを探す。そしてエンドゾーンのレシーバーにパスを投げ込んだが、CB リーヴィスにディフレクトされてしまう。そのボールがマリオタの胸にすっぽり入って、マリオタはそのまま左隅のパイロンにボールをぶつけるように身体を投げ出した。「6ヤードの、マリオタからマリオタへのタッチダウンパス」という記録になった。10-21。
チーフスは相手のパントのマフで労せずして FG 圏内での攻撃権を得るが、48 ヤードをバトカーが決められず。
タイタンズは返しのドライブでヘンリーが 35 ヤードのタッチダウンランを決めて 16-21。ツーポイントには失敗するが、1ポゼッション差にまで追い上げる。
チーフスはその返しのドライブではパントに終わり、次のタイタンズのドライブ。自陣の 20 ヤード地点から、途中マリオタのスクランブルで 17 ヤードのゲインなどを挟んで、最後はデッカーへの 22 ヤードのタッチダウンパス。きっちりカバーされていてかなり厳しいところだったが、ここしかないというところへ投げ込んでタッチダウン。これはマリオタが上手かった。ここもツーポイントには失敗したが、とうとう 22-21 と逆転した。
返しのドライブ、チーフスは4分使って敵陣まで入るが、そこでドライブが潰えて残り 2:09 で攻撃権を手放してしまう。このあとタイタンズはランプレイを重ねて 1st ダウンを二回更新し、残り時間を使い切った。
形としては高位シードのチーフスが敗れ、アップセットとなった。前半はあれだけよかったのに、後半チャンスをことごとく手放す感じで得点できず、最終的な逆転を許してしまった。リード HC の弱いところが出てしまったか。
タイタンズは大差をつけられた後半も諦めずに慌てずに反撃を続け、それがまあマリオタの奇跡のタッチダウンに繋がったし、あれ自体は完全にまぐれなんだけどモメンタムはもたらしたと思う。そこからも途切れずに地道な攻撃を続けられたことが、よもやの逆転をもたらした。


最終スコア:TEN 22-21 KC

Atlanta Falcons (10-6; NFC #6/Wildcard) @ Los Angeles Rams (11-5; NFC #3/West)

ファルコンズは最終週どうにか勝ってプレイオフに滑り込み。結果から言うとシーホークスも負けたのだけど、昨季 NFC のプレイオフに進んだチームでは唯一二年連続の出場となった。
ラムズは 14 年ぶりの地区優勝で、プレイオフも 13 年ぶり。三四年前の NFC 西地区ブレイクの際もひとり蚊帳の外で、同地区に比較的強い一方で他にはまんべんなく弱いという印象だった。なんと勝ち越しすら 14 年ぶりというのだから恐れ入る。躍進の原動力は二年目 QB ジャレッド・ゴフと、今季から指揮をとるショーン・マクベイ HC。マクベイ HC はまだ 31 歳とべらぼうに若く、プロとしての競技経験はない。日本のプロスポーツだと考えられない経歴だけど、NFL は結果出せばどんどん抜擢される印象はあるかな。
試合はファルコンズが先制し、前半一時は 13-0 とリードすると、そこから一度も並ばれることなく逃げ切った。ラムズはややオフェンスが淡白で、2Q にタッチダウンを返してから次のドライブでレッドゾーンに攻め入った時が最大のチャンスだったと思うが、そこでタッチダウンまで行けずに FG 止まりだったのは痛かった。
4Q にはあと2分強で残り5ヤードまで行って、ゴフから TE ヒグビーに一旦はタッチダウンパスが通った判定だったが、レヴューでくつがえってインコンプリート。結局無得点に終わって実質的にはそこで終わっていた。
スタッツ的にはそこまで大きな差ではなかったのだけど、ラムズファンブルロストが2回あってそれが響いたか。ダブルスコアほどの力の差はなかったと思うが、しかしラムズが勝てた確率がそう高かったとも思えない、みたいな結果だった。


最終スコア:ATL 26-13 LAR

Buffalo Bills (9-7; AFC #6/Wildcard) @ Jacksonville Jaguars (10-6; AFC #3/South)

今世紀初、18 年ぶりのプレイオフ進出を決めたビルズ。最終週にレイヴンズが負けてくれて最後の椅子が転がり込んで来たという感じだったが、とにかくも自分たちも勝っていたのは素晴らしい。とはいえ平均得点 18.9(22th)、平均失点 22.4(18th) というスタッツの通り、よくプレイオフ出られたなというのが正直なところ。唯一の飛び道具、RB ルショーン・マッコイも足首の怪我で questionable だったが、どうにかこの試合には間に合わせてきた。
ジャグァーズはこちらも 18 年ぶりとなる地区優勝を決めた。序盤から勝ち星を重ね、地区内順位はほぼずっと1位を守り続けた。開幕週に 10 サックを記録した通りディフェンスが持ち味のチームで、その勢いのままレギュラーシーズンでのサック数でもリーグ1位となった。オフェンスもレギュラーシーズンの平均得点はリーグ5位と、意外なほど攻撃力も持ち合わせている。
試合は渋い我慢比べになった。ただでさえランゲームを志向する両チームに加えて風が強いコンディションでパスが決まりづらく、全然攻撃が続かない。初めて得点が入ったのが前半終了少し前のビルズの FG で、ジャグァーズも残り時間で FG を返して 3-3 で折り返し。ボートルズのスクランブルで 20 ヤードゲインしたのが両チーム合わせて前半最大のプレイだったというのだからお察しくださいというところ。
後半はジャグァーズがこの試合唯一のタッチダウンをもぎ取って、それが後半唯一の得点になり、この試合の決勝点にもなった。ランプレイでごりごり押し込んでから最後1ヤードの 4th&1 で TE へのプレイアクションパス、という教科書に載ってるようなプレイだったが上手く決まった。
最後はビルズが同点を目指してのドライブ、自陣 47 ヤード地点でテイラーが負傷してルーキー QB ネイサン・ピーターマンが出てくるというアメイジングな展開になったが、4th&3 をスクランブルで更新したもののそこまで。最後はインターセプトを喰らったけどあれはもうしょうがない。投げなければ始まらないし、あんな浅いところまで上がってきてボールを奪ったラムジーを褒めるべきだろう。
というわけで、まずはジャグァーズが順当に勝ち上がった、のだが、ボートルズは 12/23-87yds-1TD-0INT で、ラッシングヤードのほうが多かった(10att-88yds)。ジータス解説の有馬氏が「まあボートルズはこんなもんですよ」と試合中も連呼していたのだが、さすがにこれは……という感じである。
ビルズはこれしかないという展開に持ち込んだが、ジャグァーズのディフェンスを崩せなかった。マッコイが万全ならとも思うがこの日も 19att-75yds とそれなりの数走っており、それでこれなら仕方あるまい。


最終スコア:BUF 3-10 JAX

Carolina Panthers (11-5; NFC #5/Wildcard) @ New Orleans Saints (11-5; NFC #4/South)

パンサーズは最終週負けて第5シード。セインツも最終週負けたがパンサーズが負けたおかげで第4シード。同地区なので今季三回目の対戦となった。レギュラーシーズンの二試合はいずれもセインツが勝っていわゆるシーズンスイープになっている。
結果としてはみたびセインツが勝った。1Q にテッド・ギンへの 80 ヤードタッチダウンパスで先制すると、その後も順調に得点を伸ばし、一度も追いつかせなかった。ブリーズもよかったし、3Q までパンサーズにタッチダウンを許さなかったディフェンスもよかった。勝つべくして勝ったという印象はある。
パンサーズも前回の対戦よりはだいぶよかった。ニュートンも 24/40-349yds-2TD-0INT と被サック4にも関わらずかなりのスタッツで、少なくとも試合を壊したとは言えまい。惜しかったのは 1Q に K ガノが 25 ヤードの FG を外したことで、もしそれが決まっていれば最後パンサーズは FG 圏まではたどり着いていたので逆転 FG を狙えた可能性はあった。
セインツはひさびさのプレイオフということで期するところも大きいはずだ。ブリーズとて衰えこそ感じられないが年齢を考えれば残りキャリアももうそう長くはあるまい。ここらでもうひと花咲かせておきたい思いは強いだろう。レギュラーシーズンからの勢いもあり、ヴァイキングズにとってはかなりの難敵になりそうだ。


最終スコア:CAR 26-31 NO
(更新おわり)