黄昏通信社跡地処分推進室

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NFL 2017 -- Divisional Playoff

Atlanta Falcons (10-6; NFC #6/Wildcard) @ Philadelphia Eagles (13-3; NFC #1/East)

ラムズをサクッと下してアップセットを達成したファルコンズ。昨季ほどの勢いは感じられないが、チームの状態が上向いているのは間違いないところ。ぎりぎり第6シードに滑り込んでからのアップセットも不気味な流れで、試合前はこちらのほうが評価が高かった。それをホームで迎え撃つは、レギュラーシーズン最後の二試合でオフェンスがほとんど機能せず不安の残るイーグルズ。なんだかんだ言って今季の快進撃はウェンツあってのものだし、ウェンツが居ないとこんなもんなのかなというのがここ二試合だった。第1シードながらアンダードッグの扱いをされていた。
試合は先攻のイーグルズが最初のプレイでロングパスを試み、パスインターフィアランスでいきなり FG 圏に入ってから次のプレイでアジャイーがファンブルロスト、という波乱を予感させる立ち上がり。ファルコンズは返しのドライブをレッドゾーンまで運び、FG で3点を先制した。
パントが続いた後、1Q から 2Q へまたがるドライブでイーグルズが反撃。アジャイーのランがたて続けに8ヤードぐらい出てリズムを作ると、アゴラーへのロングパスが通って敵陣3ヤードで 1st ダウン。そこから3プレイで2ヤードしか進めず苦しんだが、最後は 4th&1 をブラウントのランで押し込んでタッチダウン。PAT に失敗したが、3-6 と逆転した。
2Q 後半、イーグルズはファルコンズをパントに追い込みながらカバーチームがマフしてしまう。レッドゾーンからの攻撃をファルコンズタッチダウンまで持っていき、10-6 と再逆転した。しかしイーグルズもこのあと残り1分を切ってから 35 ヤードゲインして FG 圏にたどり着く。ラスト1秒、K エリオットが 53 ヤードの FG を決めて 10-9 で折り返した。


後半は前半にも増してディフェンシヴな展開になり、おたがいなかなか得点をあげられない。そのなかでイーグルズが FG にたどり着き、逆転。さらに 4Q にも FG を決めて5点差に広げる。この2回のドライブでイーグルズは 5:40、7:54 とたっぷりと時間を使い、ファルコンズからの反撃の機会を削り取ってゆく。
残り 6:02 から、ファルコンズは結果的に最後になる攻撃を自陣 24 ヤード地点から開始する。途中 4th&6 があったがライアンがフリオ・ジョーンズへパスを通して更新。そして敵陣9ヤードでの 1st ダウンを得る。二本のパスインコンプリートのあと 3rd ダウンはフリオジョーンズへのパス。これは決まるが2ヤード足りず、残り2ヤードでの 4th&Goal。ライアンは右に走り出て、プレッシャーを受けて下がりながらエンドゾーンに高いボールを投じる。無理な体勢からにしては驚くほどいい球が行ったが、ボールはジャンプしたフリオ・ジョーンズの両手の間をすり抜けていった。
というわけでイーグルズが逆転勝ち。タッチダウン1本と FG 3本で 15 点とやはりオフェンスは物足りなかったが、ディフェンスがファルコンズを 10 点に抑えて勝ち切った。正直すごく強いという感じはしなかったが、モメンタムのあるファルコンズを跳ね返しただけでもあなどれないとも思う。次戦もディフェンスが頑張ればチャンスはありそうだ。
ファルコンズは昨季と比べるとかなり落ちた得点力がやはりあだになってしまったか。一試合平均でいうと昨季の 33 点台から今季は 22 点台まで落ちたのだそうで、大一番でその数字があらわれたような結果になってしまった。

Tennessee Titans (9-7; AFC #5/Wildcard) @ New England Patriots (13-3; AFC #1/East)

先週はマリオタ奇跡のタッチダウンパス&レシーヴから 18 点差を逆転勝ちしたタイタンズ。力が落ちるのは否めないがモメンタムという点では現在生き残っているチームの中で最高であろう。一方なんだかんだで第1シードを確保したペイトリオッツ。シーズンが深まるにつれて不安材料がひとつひとつ減っていき、プレイオフ直前で最高の仕上がりになっているという例年のパターンで、正直負けるイメージはあまり湧かない。
しかし試合はタイタンズが先制する。2回目のドライブ、自陣5ヤード地点からのスタートだったが 3rd ダウンを2回更新すると、最後はマリオタが左サイドライン側へ完璧なデリバリーのパスを投じる。これをデーヴィスが左手一本でしっかりとってタッチダウンとした。
だがそこからペイトリオッツが本領を発揮し始める。返しのドライブでタッチダウンを返すと、そこから三回の攻撃権ですべてタッチダウン。あっという間に 7-21 としてしまう。その得点のまま折り返し。


後半に入ってもペイトリオッツオフェンスの勢いは衰えず、タッチダウンをさらに二本追加して完全に勝負あり。タイタンズは最後にもう一本マリオタからデイヴィスへのタッチダウンパスがあって意地を見せたがどうにもならず。さすがに地力ではかなわず、アップセットには必須となる先制点を奪ったが、そこまでだった。最後のタッチダウンも含めて希望は持てる内容ではあったのでまた来年というところ。
ペイトリオッツは下馬評通り明らかに力が上だったし、その力をしっかり出し切った。オフェンスもディフェンスもしっかりしていて、これなら次も下手な試合はするまい。

Jacksonville Jaguars (10-6; AFC #3/South) @ Pittsburgh Steelers (13-3; AFC #2/North)

ひさびさの地区優勝から、ワイルドカードレイオフではビルズ相手に 3-10 でぎりぎり勝ってきたジャグァーズ。ディフェンスの強さもオフェンスの微妙さもよく出ていた初戦だった。スティーラーズペイトリオッツとの直対で敗れて第2シードに回ったとはいえ力は遜色なく、今年こそはスーパーボウルへというのもあながち大言壮語とも言えないところ。得点力ではスティーラーズが上なので、ジャグァーズとしてはディフェンシヴな試合に持ちこみたいと思われた。
ところが試合はまったく違う展開になった。オープニングドライブからジャグァーズがいきなりタッチダウンをあげる。最後は残り1ヤードの 4th&1 をギャンブルしてフォーネットがダイブ。派手に先制パンチを喰らわせると、さらにロスリスバーガーから敵陣でインターセプトを奪うと、返しの攻撃を 17 ヤード地点から一発でタッチダウンして 14-0。2Q に入ってからはほとんどフォーネットとイェルドン(とボートルズ)のランだけで 75 ヤード進みきって3つ目のタッチダウン。なんと試合開始三分の一ほどで 21-0 としてしまう。直近二試合で計 20 点しか取れていないオフェンスとしては考えられないほどの得点ラッシュだった。
スティーラーズはこのあとようやく最初の得点をあげる。ロスリスバーガーから左奥へ走ったアントニオ・ブラウンへ、どう見てもブラウンはボーイェイにぴったりつかれていたが(※この日はディフェンスバックの接触には徹底的に甘く、ここもボーイェイはほとんどずっとブラウンを掴んでいたがおとがめなし)結果的には通っているというちょっとよくわからないプレイだった。これで 21-7。
ジャグァーズは今度はディフェンスがビッグプレイを見せる。ロスリスバーガーをンガコウェがサック、それもボールを持っている腕に手をかけてファンブルさせると、スミスがそれを拾って 50 ヤード走りきってタッチダウン
しかしスティーラーズも前半このままで終わるわけにはいかないとばかりに、残り 0:31、4th&11 からロスリスバーガーがブライアントへ 36 ヤードのロングパス。いくら点差があるにしても焦りすぎのプレイコールに思えたが結果としてはタッチダウンで、28-14 で折り返した。


後半も点の取り合いは続く。最初のドライブはスティーラーズタッチダウンロスリスバーガーからベルへのロングパスでタッチダウンとなったが、ベルのマークが LB スミスであることを見切ってのパスでさすがの読みだった。これでようやく 28-21 と1ポゼッション差に迫る。
少しパントが続いて 4Q に入ってから、スティーラーズは敵陣 39 ヤードで 4th&1 をギャンブル失敗。これで得たチャンスでジャグァーズはボートルズがまさかのロングパスをコールに通し、一気に敵陣3ヤードに迫る。これはデリバリーが完璧だった。やればできるぜボートルズ。この3ヤードをフォーネットがあっさり突き抜けて、35-21 と差を広げる。
しかしロスリスバーガーも執念を見せる。敵陣 43 ヤードの 4th&5、なにもロングパスを投げなくてもというシチュエイションだったが、エンドゾーンに走り込むブラウンへ 43 ヤードのタッチダウンパス。これもデリバリーが完璧で、ボーイェイもパスインターフィアランスをコールされるほどの執拗な守りだったがパスは通っていた。35-28 となる。
この次のジャグァーズのタッチダウンがしびれるプレイだった。敵陣 14 ヤードの 2nd&8、Iフォーメーションからプレイアクションで FB のボハノンへパス。「日本の高校生がやるようなプレイ」という意表をつくプレイコールで完全なワイドオープンだった。42-28、結果的にはこれが大きかった。
それでもスティーラーズは諦めない。3rd&10 をロスリスバーガーが自ら走って更新したドライブ、最後は9ヤード地点からの 1st&Goal、ロスリスバーガースクランブルでスクリメージを越える。またか、と思われたところで左サイドのベルへラテラルパス。これにはディフェンスが対応できず、8ヤードのタッチダウンレシーヴとなった。42-35 の1ポゼッション差。
しかし時間がなさすぎた。残り 2:18、スティーラーズオンサイドキックはボールがぜんぜん前方に飛ばず失敗。ジャグァーズはこれで得た攻撃でフォーネットのランプレイを三回続け、時間を費やして FG を決める。ここで2ポゼッション差となったことで勝負は大きくジャグァーズに傾いた。
スティーラーズのラストドライブ、1:45 あったので二回攻撃できる時間はなくもなかったのだが、道中ブラウンがアウトオブバウンズに出なかったりインテンショナルグラウンディングのランオフがあったりで時間切れ。最後 0:01 でタッチダウンパスが決まったが、これではオンサイドキックも蹴れない。普通にキックオフしてリターンで終了となった。
めちゃめちゃ点が入って面白い試合だった。ロスリスバーガーが 4th ダウンからのロングタッチダウンパスを二本も決めたり、鮮やかなラテラルパスを決めたりとすごいパフォーマンスで、スタッツも 37/58-469yds-5TD-1INT とすさまじい数字だったが、ジャグァーズは常にそれに先んじて、結果的には最初にリードを奪ってから一度も並ばせずに逃げ切った。あらためて振り返ってみればジャグァーズはレギュラーシーズンの総得点でもリーグ6位だったのだ。ディフェンスのチームという印象は強いが、決してオフェンスの弱いチームではない。それにしても 45 点取ったのは驚きのひとことに尽きるのだけど。
アンダードッグが、自分の土俵とは違うところで勝ちあがった。これだからプレイオフは面白い。昨季まで負け犬そのものだったジャクソンヴィル・ジャグァーズが、いよいよ 18 年ぶりのカンファレンス・チャンピオンシップに挑むことになる。楽しみでならない。

New Orleans Saints (11-5; NFC #4/South) @ Minnesota Vikings (13-3; NFC #2/North)

パンサーズをみたび負かしてディヴィジョナルに駒を進めてきたセインツ。今季はようやくディフェンスが固まり、イングラムとカマラの両 RB が大活躍してここまで勝ち進んできた。ブリーズのパス一辺倒だった昨季までとは微妙に違うチームになっている。対するはくそ堅いディフェンスと第三の QB ケイス・キーナムの活躍でファーストラウンドバイまで手に入れたミネソタヴァイキングズ。こちらはマイク・ジマーの HC 就任以来着実にステップアップ——昨季のランドスライドは置いといて——してきたが、四年目の今季は完全に仕上がった感がある。地元開催でのスーパーボウル進出へ向けて大いに意気が上がるところ。
前半は完璧にヴァイキングズのゲームだった。セインツのオープニングドライブをスリーアンドアウトで切ると、名手シェレルズの 19 ヤードパントリターンで自陣 45 ヤードからの好フィールドポジションでの攻撃権を得て、そこから完璧なドライブを展開してタッチダウン。最後はマキノンのランだったのだが、驚くほど広いスペースを駆け抜ける恰好だった。そのあとも 2Q に入ってからフォーバスの 20 ヤード FG、マレーの1ヤードタッチダウンランと次々に決めて 0-17。一方のセインツはブリーズがインターセプトを二回喫し、2Q 終盤の 58 ヤードの FG も決まらず、1点も返せないまま 0-17 で折り返し。


しかし後半最初のドライブで7分費やして敵陣 30 ヤードまで行きながらサックされて FG 圏外に出されたあたりから勢いが変わり始める。セインツは返しのドライブできっちりタッチダウンまでたどり着き反撃開始。その返しでキーナムはいきなりインターセプトを喰らい、自陣で攻撃権を渡してしまう。





もう書きそうにないのでここまで(2018-06-19)。
この試合例のあれなんだよねー。書けないのはもったいなかったな。