黄昏通信社跡地処分推進室

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『北澤美術館所蔵 ルネ・ラリックの香水瓶 ーアール・デコ、香りと装いの美ー』 松濤美術館,2017-12-12〜2018-01-28

プレミアムフライデーだから」とかよくわからないことを言って時間休を使って、松濤美術館へ。渋谷駅から歩いたけど、まだまだ雪が残っていて独特の風情があった。鍋島松濤公園も雪だらけだったよ。池が凍ってたかどうか確かめればよかった。
さて、タイトルの通り、ラリックの香水瓶を中心にガラスものをまとめた展覧会。ラリック作品についてはすべて北澤美術館から借りているので、ある種出張展示みたいなところはあったかも。ラリックはガラスに転じてからは一貫して一点ものではなく工業製品であるというところに立脚していたようで、その中で使える技法だけを用いて作品を作っていた。とはいえガラスにしても香水にしても当時は今とは比べものにならないほど贅沢品だったはずで、だから工業製品っつってもすごく華やかなんだよね。特にびっくりしたのは最初の方にあった香水用のテスターで、ガラス製で五種類香水入れるところがあってそれぞれの蓋が花の形になっててさらにその蓋にすごいちっちゃい字で香水の名前刻んであったりすんのよ(これは解説に書かれてなければ絶対見逃してた)。え?テスターだぞ??というかんじである。とにかくどれもこれもこんなに細かい細工するんかよーというぐらい精緻であったし細工のないところも透明で美しかった。後半あった猫の蓋物の解説では猫の目の裏側を細工してあって光を集めるようにしているみたいなことが書いてあったのでそういう光学的な工夫も随所にあるのだと思われる。
「日本の小さなリンゴの木」みたいなタイトルの作品があってなんじゃろと思ったらモチーフは木瓜なんだそうで、当時木瓜はヨーロッパに渡って「日本の小さなリンゴ」っていう意味の名前がつけられて結構植えられてたんだそうです。レリーフも可愛かったし、漆を意識したというガラスの黒色もよかった。あとはエジプトブームだったころに作られたっていう目玉がいっぱい彫られた四角い瓶面白かったな。箱もその目玉のデザインになっててそれがまたいいんだ。
というわけで、いまさらラリック、ではありますが、さすがラリック、でもあり、よかったです。会期は既に終わっています。