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「装飾は流転する 『今』と向きあう7つの方法」 東京都庭園美術館,2017-11-18〜2018-02-25

泊まり勤務で午前中が空いてたのだが妻は予定があったのでおれひとりでこれに。ひさびさに庭園美術館行ったけどよかったなー。この展覧会の間は撮影自由ということになっていたのでみんなぱしゃぱしゃ写真を撮っていた。よかったのは「ベルギー 奇想の系譜」にもいくつか作品が出てたヴィム・デルヴォワ。でかいゴムタイヤを手で彫ってめちゃくちゃかっこいい装飾を加えた《無題(タイヤ)》とか、ゴシック装飾のトレーラーとダンプカーの模型とか(それぞれ《低床トレーラー》と《ダンプカー》、スケールは 1/6 ぐらいでわりとでかい)、なにかパラノイアを感じさせる、それでいてデザインと加工は精密無比という頭のおかしい作品を並べていた。
もうひとり——というかふたり、よかったのが郄田安規子・政子姉妹。小さくて細密な作品の中に仕掛けをこらしてくる作風で、《カットグラス》は窓際のショーケースに並べてあったんだけど一見して小ぶりの切り子細工の浅い盃。でもよく見ると糸尻のところに謎の横穴があいている。あれ?と思って見直すと、盃ではなくてゴムの吸盤なのだ。解説によると「安価な」吸盤の表面に溝を彫ったものだという。装飾が素材に及ぼす効果をまざまざと見せつけられて大変よかった。《切り札》は手のひらに乗るくらいの小さな絨毯で、色とりどりの柄の作品が何十枚も並んでいるのだけど、これもよく見るとどうやら元はトランプの裏の柄らしい。その上に同色の糸を刺繍して、両端に例に「じゅうたんのはじっこ糸」を並べることでミニチュアの絨毯に仕立て上げている。言われてみるとトランプの柄は絨毯に似ているけど、このような擬態は思いもよらなかった。
展覧会全体としてはやや寄せ集め感があったけど、個々の作品はなかなかよかった。あと、月曜の午前中にスーツで行くとめっちゃ浮きます。