- 作者: アダムクチャルスキー,柴田裕之
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2017/11/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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可笑しかったのは、ルーレットを攻略しようとしてずっとカジノのルーレットの出目を収集してた人の話で、実際にその場に行って見てるんじゃ大変だし怪しまれるしってんでその人は新聞に載っていた出目を集計していた。当時は新聞にルーレットの出目が載ってたらしいんだよね。新聞に競馬の結果が出てるようなノリだったんじゃないかと想像するのだけど、とにかくそれをずっと記録してある程度データが溜まったところで解析してみた。ところが明らかに結果がおかしい。どう考えても出目が偏りすぎているのだ。それで調べてみると、新聞社から結果の記録を委託されてたやつがサボってて、実際の数字なんてまったく見ずに適当にでっち上げていたことが判明したのだとか。なにからなにまでダメなエピソードですごくいいと思う。ちなみにルーレットは台ごとの偏りがあるので個別の台に対する傾向を見出すことは不可能ではない、ただしボールが投げ込まれてから意味のある予測をすることは不可能、みたいな感じらしいです。さもありなむ。
あとは保険や投資業界で使われているテクニックは賭博でも通用するそうで、そこら辺も当たり前ではあるのだけど、オンラインでのリアルタイムの賭け、とりわけベッティング・エクスチェンジが始まってからは戦術の幅はさらに広がっているらしい。初歩的なところでは、試合の途中で主力選手の怪我なんかがあってオッズが劇的に変わった場合には当初と反対側に適切な金額を投じることでどちらが勝っても勝ちの状況を作り出せる、とか。
ブックメーカー側も、賭けを始めてから最も早い時間帯に投じられたベットの的中率が高い、というデータを掴んでいて、つまりこれは腕のいいギャンブラーが一番最初のおいしいオッズを狙って賭けてくるからなのだけど、その時間のベットを見て後刻のオッズを調整する、ということをしているのだそうだ。おお、黙ってやられてばかりではいないんだな、と思ったが、著者は「実質的には一部のギャンブラーに金を払って適切なオッズの情報を買っていることになる」と書いていて、言われてみるとそうだなと思ってそこも面白かった。