- 作者: 柴崎友香
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2017/10/05
- メディア: 単行本
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千歳の他人との距離の取り方がおれから見ると少し不思議で、ある時にはとても簡単に間合いを詰めているように見えるし、その割には本人は人付き合いをあまり得意とは思っていないふしがある。そこに違和感があり同時に生々しくもあった。そういうものであろう、という程度の認識はもちろん自分にもある。
幼い頃に住んだ大阪の団地のたたずまいを重ね合わせ、千歳はこの団地を自分に近しいところと位置づける。けれど、やはりどこまで行ってもまれびとであるのだと感じる場面がいくつか登場する。たとえばかろうじて心を開いてくれたメイを探そうとするときに、千歳はどこを探せばいいのかわからないのに、かつて住んでいた夫の一俊にはあっさり見当がついてしまう。その疎外感は一俊と千歳自身との関係にも重ね合わされている。
まとまらないが、なんとも不思議な読後感があった。著者の本はもう一冊ぐらい読んでみてもいいかもしれない。最近そう言って実際読んだためしないけど。