黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

NFL 2018 -- Divisional Playoff

ここ何年かワイルドカード組のモメンタムが全く通用しない、ディヴィジョナルラウンド。

Indianapolis Colts (11-7; AFC #6/South) @ Kansas City Chiefs (13-4; AFC #1/West)

テキサンズを寄せつけず勝ち上がってきたコルツが、圧倒的攻撃力でレギュラーシーズンを駆け抜けたチーフスに挑んだ一戦。コルツがチーフスの攻撃をある程度さばければいい試合になるかと思われたが、チーフスは試合開始から2ドライブ続けてタッチダウンをあげ、その次の攻撃でも FG。レギュラーシーズンから不安のあったディフェンスもがっちり機能して、コルツの攻撃を四回連続でスリーアンドアウトに終わらせる。
ところがチーフスは四回目の攻撃で初めてパントを蹴ることになると、そのパントをブロックされてリターンタッチダウンされてしまう。これで 7-17 となったが、チーフスは返しのドライブで慌てずさわがずタッチダウンまでたどりつき 7-24 としてふたたび3ポゼッション差とした。
このあとのコルツの前半最後のドライブが勝負を決めた。この試合初めてオフェンスがまともに機能し、相手のソフトなディフェンスにも助けられて面白いようにラックのパスが通る。しかしタイムアウトが残っておらず、残り5ヤードまで行ってまだ 3rd ダウンだったが時間が三秒しかなく、しかたなく FG を狙う。それでも入っていれば2ポゼッション差に戻せたので悪くなかったのだが、このチップショットを大ベテラン、アダム・ヴィナティエリがアップライトに当てて外してしまう。ここはチームの勢いを大きく落とすドライブになってしまった。

後半チーフスはギャンブルに失敗したりファンブルロストがあったり微妙にぱっとしなかったが、コルツもおつきあいしてしまって追い上げられず。4Q にようやくタッチダウンをあげたが、返しのドライブでチーフスにもタッチダウンを許して万事急須。
チーフスのディフェンスの良さが印象に残った。もともと攻撃力は抜群なわけだから、ディフェンスがこの調子で守れるならこれはかなり上に行けそうという感じがする。
コルツは立ち上がりにチーフスディフェンスに予想以上に抑えられてしまい、そこから最後までラックが波に乗れなかった。レギュラーシーズンも含めてモメンタムという点では今週まで残っていた8チームの中でも上位の部類だったと思うが、ここ数年なかなかモメンタムだけでは通じなくなっている。
最終スコア:IND 13-31 KC

Dallas Cowboys (11-7; NFC #4/East) @ Los Angels Rams (14-3; NFC #2/West)

あらゆる場面で厄介な対戦相手、シアトル・シーホークスをかろうじて下してきたカウボーイズと、特にシーズン前半文字通り飛ぶ鳥を落とす勢いだったラムズの対戦。カウボーイズは前週シーホークスのランを封じ込めていて、この試合でもラムズのランをどこまで止められるかが鍵と見られていた。
しかしふたを開けてみるとラムズのオフェンスラインが圧倒的に強く、RB の走路を切り開いた。面白いぐらいにランプレイが出て、カウボーイズラムズのドライブを止めることができない。最初の二回の攻撃こそ FG でとどめたが、その次の二本のドライブはいずれもタッチダウン。最後は 63 ヤードの FG を失敗して終わったものの、前半ラムズは一本もパントを蹴らなかった。逆にカウボーイズは最初のドライブでプレスコットがアマリ・クーパーへタッチダウンパスを通していったんは逆転したが、前半の得点はそれだけだった。7-20 で折り返し。

後半ラムズが先に FG を決めて 7-23 まで差が広がるが、その返しのドライブでカウボーイズはひさびさのタッチダウンをあげる。プレスコットからギャラップへのロングパスが通ってつかんだチャンスだった。ツーポイントコンヴァージョンもあっさり成功し、15-23 と1ポゼッション差に追い上げる。
返しのドライブは自陣に入られながらもパントを蹴らせ、カウボーイズはいよいよ同点を目指すドライブを始める。敵陣まで進んでの 3rd&14、プレスコットはブラウンに短いパスを通すが、ランアフターキャッチでわずかに足りず 4th&1 になる。敵陣 35 ヤード地点、ちょうど 4Q が始まったまさに1プレイ目、選択はギャンブル。ボールをエリオットに託すが、この1ヤードが取れず攻守交代。ここがこの日のカウボーイズの限界だったか。
ラムズは返しのドライブをいいフィールドポジションから開始して、こちらは1ヤード地点での 4th&Goal を C.J.アンダーソンがきっちり決めてタッチダウン。15-30 となり、これでほぼ決着がついた。
最後カウボーイズタッチダウンを返したものの、オンサイドキックは蹴らずに普通に蹴り込む。そのまま二度と攻撃権が戻ってくることはなかった。

ラムズがとにかく走りまくった試合だった。アンダーソンが 23att-123yds-2TD、ガーリーが 16att-115yds-1TD とどちらかひとりだけでも見事な数字なのにそれが並び立つというのはすごすぎる。まあオフェンスラインの力ということか。エリオットは 20att-47yds-1TD と文字通り完封されてしまった。このスタッツを見ると、最終的に1ポゼッション差だったのはむしろ頑張った方だなという印象。カウボーイズはこれでディヴィジョナルラウンドでは六連敗とのこと。
ラムズはシーズン後半もたついたけどきっちり上げてきて、Bye もいい方向に活かせていてほんとうにすごい。チャンピオンシップでも下手な試合はしなさそう。

最終スコア:DAL 22-30 LAR

Los Angels Chargers (13-5; AFC #5/West) @ New England Patriots (12-5; AFC #2/East)

五年ぶりのプレイオフ、五年ぶりのディヴィジョナルとなるチャージャーズを、九年連続 1st ラウンドバイの王者ペイトリオッツが迎え撃つ一戦。
ペイトリオッツはオープニングドライブから先制攻撃を決める。四度の 3rd ダウンがありながら、三度は更新し、一度は反則でオートマチック 1st ダウンとなりドライブが継続。最後はソニー・ミシェルが1ヤードのタッチダウンランを決めた。
チャージャーズもすぐさま反撃する。いきなり 3rd&10 からディレイオヴゲームで 3rd&15 になるが、これをリヴァーズが中央のマイク・ウィリアムズに強引にパスを通して更新して波に乗る(マッチポンプである)。敵陣に入ってから今度はキーナン・アレンへのロングパス。43 ヤードあったがこれが見事に決まって、鮮やかに同点に追いついた。
しかしこのあとは一方的な展開になってしまう。ペイトリオッツはその後の3ドライブ、計4ドライブ続けてタッチダウンをあげるのだ。それもいずれも 10 プレイにも届かない素早い攻撃で、さすがという他ない高い集中力だった。逆にチャージャーズはその間はずっとパントで、チャンスらしいチャンスすら作れない。ペイトリオッツは五回目のドライブでやっとパントに終わるが、これを PR デズモンド・キングがマフってペイトリオッツのカバーチームにカバーされてしまう。かくして前半五本目のタッチダウンを奪われてこの時点で 7-35、ハーフタイムを待たずして試合が決まってしまった。

後半ペイトリオッツオフェンスは流して、というわけでもないのだろうが、3Q と 4Q に FG を一本ずつ決めただけ。まあそれでも前半の点差が点差だけにどうにかなるものでもなく。
しかし、チャージャーズというか、リヴァーズは最後まで諦めずによく戦っていた。いつものように、味方に檄を飛ばし、審判にアピールして、時には怒鳴りながら、残り一分になってもそんな調子なのだ。まったく驚いてしまう。逆転するにはあとタッチダウンが三本必要だというのに。37 歳、もう若くはない。スーパーボウルには未だ出場すらない。今年もまたチャンスを逃してしまった。それでもまだこの男の裡には闘志が燃えさかっているのだ。その炎が見える限りは、おれはこの男を応援し続けるだろうと思う。
ともあれ、チャージャーズのシーズンはここで終わった。レギュラーシーズン 12-4 はどこに出しても恥ずかしくない成績だが、肝腎なところで力を出し切れなかった。リヴァーズは 25/51。ゴードンが 9att-15yds。オフェンスもディフェンスも、試合巧者ペイトリオッツの前に封じられてしまった。
ペイトリオッツはさすがという他ない。レギュラーシーズンで苦しんでも肝腎なところ、あるいはポストシーズンでは必ず立て直してくる。この引き出しの多さ、立ち直りの確実さは NFL 32 チームの中でも群を抜いている。ルーキー RB のソニー・ミシェルが 24att-129yds、ヴェテラン WR ジュリアン・エデルマンも 100 ヤード以上のレシーヴを記録した。もちろんブレイディも、34/44-343yds-1TD-0INT と堂々たるスタッツを残した。
今年もペイトリオッツが最強なのか。次戦は AFC チャンピオンシップで、Week 6 の再戦が果たされることになる。

最終スコア:LAC 28-41 NE

Philadelphia Eagles (10-8; NFC #6/East) @ New Orleans Saints (14-3; NFC #1/South)

昨年の覇者イーグルズは最後の最後でワイルドカードに滑り込み、前週はほとんど負けていた試合を勝ってここに臨んできた。対するセインツはレギュラーシーズンで両カンファレンスを通じて最良のパフォーマンスを見せたチームで、Week 17 を捨ててもなお第1シードを確保している。
試合は波乱含みの出だしになる。先攻のセインツが1プレイ目にロングパスを試みてインターセプト。返しのドライブではフォールズが見事なクウォーターバッキングを見せてタッチダウンをあげて先制する。さらに返しのセインツの攻撃がスリーアンドアウトに終わると、イーグルズは続くドライブでもフォールズが最後の1ヤードをダイブしてタッチダウン。ワンツーパンチで 14-0 とリードした。
セインツは次のドライブもパント。しかしイーグルズは次の攻撃でフォールズがインターセプトを喫してしまう。ザック・アーツへのロングパスで、アーツはディフェンスを抜いていたのだがボールが少しだけ低く、ラティモアの手に収まってしまった。
セインツは返しのドライブ、自陣でパントに追い込まれてしまうがここで早くもスペシャルプレイを切る。サーチライトのテイサム・なんでも屋ヒルにダイレクトスナップを出して、ヒルが中央へなだれ込むというシンプルなフェイクだがこれがみごとに成功。そういやティーボウもジェッツ時代にサーチライトでダイレクトスナップ受けてたな、とかどうでもいいことを思い出した。
さておき、これでドライブをつないだセインツはこれをタッチダウンまで持っていく。最後は伏兵カークウッドが左サイドのブロックフェイクからフェイド気味に左に走って行ってそこへブリーズが浮かせたパスを決めた。この表裏のドライブがセインツをよみがえらせた。前半このあとイーグルズは無得点に終わり、セインツが FG を一本追加して 14-10 で折り返す。

後半セインツは最初のドライブでタッチダウンをあげて逆転するが、ここが圧巻だった。実に 18 プレイ 11:29 というロングドライブで、個人的にはどちらの数字も見た記憶がない。3rd ダウンが三回、それとは別にタッチダウンのヌリファイが一回と波瀾万丈の攻撃だったが、これをタッチダウンまで持っていったのは流石のひとことで、結果的にはここで時間を喰ったことがセインツには有利に働いた。
セインツはこの次の攻撃で FG を追加して 14-20 とリードを広げたが、その次の 52 ヤードの FG をラッツが決められない。イーグルズは残り 2:58、自陣 42 ヤード、タイムアウト残りひとつで逆転を目指すドライブを開始する。フォールズがザック・アーツにパスを通して敵陣へ、次のプレイではセインツのラフィングザパサーでさらに 15 ヤード前進してもう敵陣 27 ヤード地点。しかしその次のプレイ、フォールズからオルション・ジェフリーへのパスをジェフリーが弾いてしまい、ボールはまたしてもラティモアのもとへ。この日二本目のインターセプトで勝負あった。
イーグルズは序盤絶好調だったのにそれを維持できず、最後まで取り戻せないまま終わってしまった。だいぶ勿体無い負け方であったように思う。セインツは逆にひどい入り方だったが、早めに繰り出したフェイクパントが決まったことがチームに勢いを与えた。よいコールであったと思う。
AFCNFC も、第2シードまでのチームがすべて勝ち上がるという結果になった。どちらのチャンピオンシップゲームも、シーズン中の試合のリマッチになる。

最終スコア:PHI 14-20 NO